明るくなったセカンド・アルバム
★★★★☆
ファーストから1年半経った89年10月のリリースされたTracy Chapmanのセカンド・アルバム。ファーストと同じくDavid Kershenbaumがプロデュースしています。クレジットされているミュージシャンの人数はかなり多く、有名なところではなんとNiel Youngが最後のトラックにピアノとギターで参加、またディランの"Desire"やRolling Thunder Revue Tourへの参加で有名なヴァイオリンのScarlet Riveraも参加しています。アルバムで使用されている楽器は前作より多彩で、意外なところではマンドリンやバンジョまで出てきます。これは純粋にそのオトを必要としただけでなく、白人音楽を代表するカントリー以外で使われることのないこの楽器を「白人と黒人の融和」というイメージで敢えて付け加えたものかもしれませんね。歌詞はファースト同様の社会的なものもありますが、内省的な作品が増えています。
曲としては前作品同様に完成度が高いのですが、前作品に満ちていたような緊迫感はそれほど感じられません。アルバム全体の印象としてはファーストよりぐっと明るくなっています。ファーストの世界を期待して聴くのも勝手なんでしょうが、その辺がちょっと不満だったりします。結構いいアルバムなのは確かなんですけどね。