古謝さんの新作はズシンと心に響く素晴らしい作品。
★★★★★
古謝さんの声、節回しが好きで、ネーネーズの頃から聞かせてもらっています。ぽつん、ぽつんと数年ごとにリリースされる作品に癒され、こころ動かされていますが、本作は特にズシンとこたえる質感をもった傑作と思いました。
シンプルに、ゆったりと始まる(1)(2)から、あの“童神”の余韻を思い出させてくれるようなタイトル曲の(12)まで、大らかで優しい歌声をたっぷり聴くことができる本作、ズシンと心に響く歌声が、心の持つ力を感じさせてくれます。ところどころに配された語り、波の音、蝉(ひぐらしかな?)や鈴虫の鳴き声も、情感たっぷりの歌に上手く溶け込んで効果的です。
そしてサプライズは(10)と(11)。前者はかのゴスペルのスタンダードのカバーですが、これだけ自分のものにして表現されたケースは稀有と思います。見事に沖縄の祈り、ゴスペルになっています。後者は沖縄民謡の名曲ですが、彼女が9歳の時にレコーディングした音源との半世紀近い、遠い時間を越えたコラボレーション!これがまた素晴らしい仕上がり。思わず何度も聴きなおしてしまいました。
大らかな中にしみじみとした情感をたっぷりと聞かせてくれる(12)で本作はフィナーレとなりますが、この美しいタイトル曲をききながら、これで終わってほしくない、もっと聴きたいという気持ちが湧いてくるのはっきりと感じました。