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狂犬病再侵入―日本国内における感染と発症のシミュレーション

価格: ¥2,310
カテゴリ: 単行本
ブランド: 地人書館
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再上陸シュミレーション ★★★★★
日本は世界でも数少ない狂犬病清浄国である。狂犬病を撲滅してから半世紀がたつ。それは喜ばしいことなのだが、身近にない病気になったがゆえに、狂犬病についての正しい知識を持っている人が少ないように思う。日本に発生していないだけで、世界中のさまざまな国で、狂犬病で命を落としている人が数多く存在するというのに・・。

この本では、狂犬病のメカニズムや予防と治療の方法に始まって、日本がどのように狂犬病を撲滅していったかに詳しく触れている。飼い犬の登録とワクチン接種の義務化、厳しい動物検疫、疑わしい野犬の駆除、この三本柱の方法で日本は世界に先駆けて狂犬病の清浄に成功した。

しかしそれで安心してはいられないのだ。もしも狂犬病が再侵入したら・・。その可能性を多方面からシュミレートした事例が後半にたくさん掲載されている。たとえば、海外旅行で犬や野生動物に噛まれ、帰国後に発症するケース。(実際に最近日本での死者が出ている)検疫を受けずに密輸入される動物から発症するケース。外国船から無許可、無検疫で上陸する犬が媒介するケース。やたらに恐怖心を抱く必要はなく、ここで大切なのは正しい知識を身につけることなのだと思う。十分に防げる病気だからこそ、なのである。

すべての哺乳動物が感染し、発症すれば死亡率100%の恐ろしい病気である狂犬病。ただ義務だから・・と犬に受けさせてきた狂犬病ワクチン接種についても深く考えさせられた。本書はとても読みやすく、良書だった。