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何をやっても癒されない

価格: ¥1,365
カテゴリ: 単行本
ブランド: 角川書店
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何をみても興味深く ★★★★☆
坦々とした記述ながらも鋭い視点と思想をみせる精神科医の書物。
クライアントをお客様あるいは下位のものとみる精神科医が多い中、
あくまで同じ人間、好きな人間、嫌いな人間といってレベルでみる
のは貴重。特に普通の常識とは別の観点から事象を解き明かす点など。
例えば痴漢行為をした人物との会話、あるいはその現場を目撃
した経験をもとに性欲ではなく権力志向的なものが男を痴漢と
いう行為にかりたてるのではないかといった仮説は興味深い
(その点、性欲そのものが直接的に権力志向と結びつくといった
研究もある)。患者との筆談から観相学までどちらかといえば
小説のネタになりそうな興味深くまたグロさをもった事例を多く
含む書物である。
何をやっても癒されない‥ ★★★★☆
「癒される」そんな言葉に不自然さを感じていた時にとった本でした。

筆者自身、産婦人科から精神科に転向した医師で、その動機が淡々と語られて
興味深かったです。実際の診療の現場も垣間見れて面白いものがあります。
そして、筆者の語りがエッセイぽくて鋭いのでどんどん引き込まれてしまいます。
少々、愚痴っぽいところも正直です。

「癒し」がやたらと求められている世の中、そんなもの探さなくてもいいんだ
と逆に楽にさせられる不思議な本です。
安直に癒されようと思わなくなった ★★★★★
 あいかわらずの率直な自分自身の姿の記述。ぶつぶつ独り言を言ったり、強迫観念にかられたり、いらつく精神科医。暗い想念にまとわれる姿。それを読んでいたら、安直に癒されようなどと思わなくなった。街によくある「癒し」商売を、ほんまかいなと疑っていたが、やはり安直な発想商品だと、自分なりの結論を持てた。気分転換にはなりますけれど。温泉なんか。
村上春樹系エッセイ集/幻想的な日常を描く ★★★★☆
精神科医の幻想的で、少し奇妙な日常を淡々と描く。文章は心に深入りしてこず、とても心地よい。現実のルールをかすかに逸脱した物語の数々は村上春樹の文章を思わせる。村上春樹ほど強引ではなく、完全な事実に則った話をしているというのが違いだろう。例えば、「ぼきり」「ぼきり」と赤青鉛筆(正式名称をVPというらしい)の両端の芯を折ることによって精神科医を脅す患者の物語などがある。

「『どぎついもの』と『とりとめのないもの』、残忍さと『分かりやすい優しさ』、過剰と欠落―こうした対立するものが融合したり和解することなく共存しているのが現代社会であると…(後略)」(p.257)という見方は非常に鋭いと思う。さまざまな世界が混じらず、共存する。そして、「分かりやすい優しさ」というものの怖さを意識した。

「考えてみれば、我々はひとりひとりが孤島のようなもので、なるほど海底をたどってみればお互いに繋がり合っているかもしれないけれど、所詮は隔絶した存在でしかない。ときにはある島にしか棲息しない『奇妙な生物』が精神科いによって発見されたりする」(p.163)という指摘は面白いし、わかりやすい。僕の人間にとって抱いているイメージと重なる部分があった。
その他、美人は幻想やファンタジーに近い(p.198)など、に日常と学問の中間くらいに立ち、わかりやすく伝えてくれる。

まってました!! ★★★★★
文藝春秋に連載時からこつこつ読んできたのですが、一冊の本になったので待ってましたって感じです。
産婦人科医から精神科医への転向の為か作者の著作本はどれもユニークですが、この本がいちばんユニークなのではないでしょうか?

個人的には「コップの割れる瞬間の恐怖」のエッセイが大好きです。味噌汁の中の死んだシジミをしみじみと眺め、その中で何が起こってしまったのかを考えてしまい、たぶん緑色に変色したであろう貝の肉を連想し、ちょっと怖がる春日武彦先生、ステキですねー