学芸員を志す人にぜひ読んで欲しい
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大学の学芸員養成課程において,学芸員という職種を博物館という現場に即して理解し,「学芸員」資格の取得課程における教育カリキュラムにおいて「学芸員とは何か?」を真剣に問うている大学は,恐ろしい位に少ないと思われる。学校教員の教職養成課程には力を入れている大学でも,学芸員養成課程に「博物館学」専門の教員を置いているケースそのものが少ないためだ。
本書は神奈川県における,凡そ「博物館」に括られる全ての館種と言って良いほどの館園の学芸員の生の声が収録されている。そこには,単純に「研究者」「教育者」「技術者」として括ることの出来ない,博物館専門職の本当の姿がある。ぜひ,これから学芸員を目指そうと思っている学生に,「学芸員とは何か?」を知るための手引きとして本書を薦めたい。そして,本書を片手に自ら博物館へ出向き,出来ればそこで働く学芸員に語りかけて欲しい。日本における博物館と学芸員の現状やあり方について,本書は大きな投げ掛けをしてくれる貴重な道しるべとなるはずだ。学芸員養成課程の学生だけでなく,学芸員を育てる大学や博物館行政の関係者にも,「博物館とは?」「学芸員とは?」を考える叩き台として,ぜひとも読んで欲しい一冊だ。