21世紀の国際社会を知る上で新鮮な切り口
★★★★☆
この本に対する書評子の評価は必ずしも高くないようですが、私は一読の価値ありと思います。20世紀が自由民主主義と共産主義の二項対立の「イデオロギー対立の時代」であったのに対し、21世紀が、冷戦が終わりグローバリゼーションが進む中で「アイデンティティの競い合いの時代」になったとの著者の意見には全く賛成です。
さもなければ、イスラムの勃興や、中国のナショナリズムの隆成、米国におけるティーパーティーの影響力増大等、一見バラバラに見える世界のホットな事象を説明できません。
「感情」ですべてを説明しようとする本書のロジックには若干無理を感じることも事実ですが、今までの伝統的国際政治論では説明できない、21世紀的な切り口を提供してくれるのが、この本の新鮮さだと思います。
視点はいい
★★☆☆☆
捉えかたは面白いけど、面白くなかった。残念でした。
地政学というには内容が偏りすぎている
★☆☆☆☆
『感情の地政学』、地政学を合理的な側面ではなく感情(希望・屈辱・恐怖)からアプローチしている。元来、地政学は地理的要因と文化的側面、そして経済など客観的かつ合理的に考えうる学問であるが、この作品では、主に宗教に重点をおきそして、民族間の問題を捉えている。純粋な地政学というよりは、主にアジアにおける宗教的あるいは民族的な問題に興味がある方には一読の価値はあるが、地理的要因による政治的な問題などにあまりふれていなかったので、地政学というより宗教学もしくは民族学的な読み物である。