ただし、このデビュー・アルバムの価値は彼女のスタンスのもの珍しさばかりにあるわけではない。ライトを含めたプロデューサー・チームとストーンは、賢明にもこのジャンルの大御所による定番曲を除外し、ローラ・リー、ジョー・サイモン、ソウル・ブラザーズ・シックスといった面々による比較的知名度の低いナンバーを選んだ。さらにザ・ホワイト・ストライプスの「Fell in Love with a Boy」では、ゲスト・プロデューサーとしてザ・ルーツのクエストラヴが加わり、この曲が素晴らしいソウル・ナンバーであることを気づかせてくれる。
そんなジョス・ストーンだが、時として持ち味を失うことがある。「Some Kind of Wonderful」を歌うときの彼女は気分が乗り切っておらず、もう少し細やかなニュアンスを身に付けてくれればいいのにと思わせてしまう。だが本作には、表面的なセンスの良さを超えたひらめきがある。(Rickey Wright, Amazon.com)