本書を手に取る人の属性は、
おそらく、不動産・投資会社・証券会社・金融機関など、
様々な職業が考えられるが、

私は不動産投資をするに際して、
その価値評価の手前で、プロフェッショナル達がどのような調査・分析をしているのか、
そして、自分が素人目で身につけることができるのであれば身につけたい

あるいは、リテラシーを高めておきたいと、
そう思って本書を手に取った次第だ。

内容構成としては、

１　調査
２　分析
３　評価

と順を追って論じているところなども、
高度な専門性を丁寧に洗い出していて、
そのお陰で、非常にすっきりしている印象がある。

総じて、内容は高度かつ専門的で、
実践で使えること、知識として利用できることなど、
盛りだくさんである。

デュー・デリジェンスで実際に行われる緻密な作業、
各種公的機関の書類との照合、
市場動向との兼ね合いから導き出される様々な分析スキームと結果、

通常のローン、あるいはノンリコースローンサービスの裏側で行われている膨大な作業が、
個々には詰め込まれているといっても過言ではない。

ただし、執筆者の文章にばらつきがあり、
章によってその質が一変してしまっていることもあるので、
そこのところが、もう少し調整されていると素晴らしかったのではないだろうか。

わずかな傷ではあるものの、
評価としては「★★★★★」ではなく、「★★★★」としたい。