音読・素読・読み聞かせも含めて朗読がとても話題にのぼるようになりました。「朗読者が何を伝えたいのか」という命題に、確実に参考になる技術的なことも沢山書かれていますが、その下地として学ばなければならない　心理学・演劇学・表現学・スポーツ医学・科学・生理学・言語学・哲学等々から抽出したイキイキとした文が　実に分かりやすく いかにも永井さんらしい展開で載っています！　この本を読むだけで　今日から表現すること演技すること　ひいては生きることが楽しくなりますよ！（人生はwellmade play!と言いますから！）

波平というとあまりにも有名で、私は20年ほど前の「ＹＡＷＡＲＡ！」の猪熊滋悟郎サンがとても
印象に残っています。
永井さんご自身は波平と滋悟郎を混ぜ合わせたような方ではないかなと勝手に想像しています。
古いところでは「メリーポピンズ」のバンクス氏の声、子どもたちのアニメに付き合ううちに知った
「タンタン」シリーズのデュポンとデュボンの声、ヨーダの声…。
番組でナレーションをされているのを耳にすると、とても滑らかで、すぐにカッカッとなる滋悟郎や
波平と全然違う感じがします。
「形」「技術」などを本で述べられていますが、長い間プロとして培ってこられた方だからこそ
語れる深いお話だなと思いました。
共通語をマスターすることの重要性を説く一方で、方言のもつ味がその地に住む人にとっていかに
大切なものであるかにも触れられていて、言葉のおもしろさに改めて気づかされました。

平成十一年二月ふきのとう書房より刊行された『永井一郎の「朗読のヒント」』を大幅に加筆修正し、改題したものです。
内容は、声優界の大ベテランである永井一郎さんが、全く新しい朗読の方法について書き綴っておられます。プロを目指す方のみならず、朗読愛好家や小さい子供のいる方にお薦めです。
また、「休憩室」と区切って、アニメのことも書かれていますので、アニメファンも是非、購読されたし！