アメリカ人の一つの存在論を形成する銃というもの
★★★★★
アメリカの銃社会についての「どうして?」が以前から私の頭の隅にあったわけだが、この書に接することによってようやくにその疑問も昇華させることができた。本書で取り上げそして解説をしている以上にこのトピックに深入りをするつもりはもう個人的にはない、それほどに完結した内容に仕上がっていて満足を与えてくれる書だと思う。英語に訳されてアメリカで出版されてもびっくりしない。
この分野で最も良質な入門書
★★★★★
米国の銃をめぐる法制、雰囲気を知るためには最も便利な一冊。
たんにルポルタージュに留まらず、銃という切り口を通じて
アメリカとは何かを考えるきっかけを作ってくれる。
第7章の「武器バザール」でのくだりが秀逸。
日本人にはちょっと理解できない「執着」
★★★★☆
平和ボケの日本ではどうにも理解できないアメリカ人の銃への執着。「ボウリング・フォー・コロンバイン」では異常なまでにデフォルメされたその「アメリカ人感情」を本書では冷静に描いています。そんなに単純ではないある意味根深い話。少し理解できたような気がします。
タイトルだけだとどんな本なのかわからないのが×
★★★★☆
アメリカの人々はどうして銃を捨てて暮らせないのか、という疑問を解き明かしてくれる本。
主に「アメリカ建国から受け継がれる国家意識」、「『武装権』という国民の権利」「利権目当て」が焦点として扱われているが、それほど難しいことは甲斐ない無いのでスルスルと読めるはず。
共同通信社の記者が書いているので、ジャーナリストならではの取材による「アメリカの人々の本音」がところどころに書いてあり、読み物としてもなかなか面白い。
特筆したいことは、アメリカではものの数分足らずで銃を所有できる身分になり、銃を購入できる「武器バザール」が開かれていること。
外国人である著者が実際におもむき、許可証を発行できるかどうか試している。
そして「武器バザール」は銃犯罪の温床ともなっているが、その理由もきちんと書いてある。
私は、アメリカではここまで簡単に銃が手に入るとは思いもよらなかった。
(取材を行ったのはカリフォルニア州で、州によって違いはあるらしいのだが)
社会科教育に使える
★★★★★
米国の乱射事件はその都度度、同じ様なコメント付きで報道されて終わりとなる。
本書はその背景をよく掘り下げており、高校や大学の政治、社会、比較文化などの教材としてぜひ採りあげて貰いたい。
銃狂信者の滑稽な日本特殊論は噴飯ものだが、この様な馬鹿げたシステムをアルカイダやメキシコの麻薬組織が武器の入手源や、メンバーの射撃練習場として米国を利用している由、確かに目の付け所は良い。この意味でライフル協会とアルカイダや麻薬団は姉妹集団である。
オバマになって米国もややまともな感じになったが、これも43代ブッシュ大統領の余りの愚行に流石のアメリカ人も呆れたからで、振子の振動のようにまた揺り戻しが来る可能性はある。あらゆる意味でアメリカ人の知性を余り信用してはいけないと言う思いをさせる良書。