彼岸に流れる音楽
★★★★★
E2-E4があまりにも有名になりすぎたせいか、何となくトリップのための音楽の
ように表現されることが多くなっていることは当方にとっては非常に不本意であ
るマニュアルゲッチング氏の快作。
名盤New Age of Earthの直後の作品であり、その後のバンド期の端境に当たる作
品でありますが、諸事情でバンドを組めていなかったギタリストの孤高の姿(ジ
ェフ・ベック、70年代後半のフリップ卿)等とは違って、実にあっけらかんと
した音作りであります。どの曲もミニマル風味全開で良いですが、特に当方はB面
に当たるLotusがお気に入り。当方は初めてこの曲を聴いたとき、曲名を全く見て
ませんでしたが、まさに『彼岸に連れて行かれる』感触を覚えました。まるで極
楽浄土かと思って曲名を見たら、Lotus(蓮の花ですね)で納得。
ミニマルのフレーバーをロックのフィールドに持ち込むミュージシャンは非常に
多いですが、繰り返しにより緊張感を高める求心的な作り方の方が目立つ中で
(マイクオールドフィールド、クラウスシュルツェ等)ゲッチングは繰り返しに
より、緊張感が解放されていく雰囲気があり、聞き終わると、顔の筋肉がゆるむ
ような感じがします。タイトルの「ブラックアウツ」や、やや恐ろしげなジャケ
ットが意味深でありますが、これらに惑わされることなく、是非購入して、彼岸
の世界に行きましょう。(ちなみに本作の数年後に、同じドイツのScorpions
(発禁ジャケットで有名)がBlackoutをリリースしてます(笑))。
チル・アウトしたい時にオススメ
★★★★☆
アシュラ・テンプル時代の、ドラッグやりまくりのサイケな音に比べて随分と洗練されたアンサンブルを聴かせるようになっています。
元祖テクノ・ハウスと言われるソロ名義作品「E2−E4」を聴いて、「これはやり過ぎかな、曲長すぎ!」と思った方、アシュラ・テンプル時代の作品を聴いて「これもやり過ぎだな、バット・トリップしそうだ!」と思った方には、本作をお勧めしたいです。
楽曲もコンパクトにまとまっていますし、ちょいとオシャレな感じなんです。
それは、ドラッグのBGMに使用される事の多いこの手の音楽の中でも、本作の音楽が特に洗練されているからだと思います。
要するに、彼の作品の中で最も「聴きやすい」一枚です。
僕は部屋でボーっとくつろぎたい時のBGMにしてます。
まったりとCHILL OUT出来ますよ〜。
無重力の宇宙空間を心地よく泳いでいるかのようなこの世界観は、他と比べようのない心持ちを味あわせてくれます。
大富豪の方は本作を宇宙旅行のお供にどうぞ。
一般庶民の方は、僕のように自宅の寝室で宇宙遊泳しましょう・・・