意味ありげ…
★★★★★
最後になにやら意味ありげな雰囲気を
醸し出していますね。
いつル・シャスールが該当の黒幕と
対峙することになるか…楽しみであります。
面白いのはどこか哀愁漂う「クイナ…」と
完全に相手がル・シャスールに
見事に完敗した「奥津城…」ですね。
特に後者のほうは基本的なミスで
書物が使い物にならないことを看破されるという
非常に笑えない状態に。
相も変わらず彼の仕事は「完璧」
続巻が楽しみになる
3作目です。
「書物狩人」というキャラクターは魅力的なのですが…
★★☆☆☆
現在進行形の物語を評価するのもどうかと思いますが、本巻については「序」なのでしょう。
主人公にとっての不倶戴天の敵が…と煽る割には、対決そのものは「次をお楽しみに」で終わって
しまいます(煽り文句は作者では無く、編集者と版元の責任ですが)。
近現代史を下敷きにした話なので、惹き込まれはするのですが、単に主人公を通じて虚実入り
乱れた話を、言いかえれば「…かもしれない」的な話を延々語らせるだけ。
実際、物語も主人公と、交渉相手との会話が主なのです。なので、会話中に相手をやり込めるシーン等
山場も用意されていますが、読んでいて高揚感や筆力というものを感じることは出来ませんでした。
「書物狩人」という魅力的なキャラクターを構築している割には、正直、キャラの描き方は弱いと
感じました。
書物を愛する人にオススメ
★★★★★
書物狩人、ル・シャスールを主人公とした連作シリーズもこれで三冊目。1作目から、主人公のル・シャスールの魅力もさることながら、丹念に調査したであろう近・現代史と貴重な書物の絡みあいが、とっても面白い。
作者の歴史を見る目とそれを小説の題材にする想像力に驚く。
よくもまぁ、これほど、ネタがあるなぁと感心するなぁ。
今回、特に面白かったのは、書き下ろしの「笑うチャーチル」。第二次世界大戦のときのナチの暗号解読の話の裏側は面白い。ブレチリー・パークの話が好きなので、アラン・チューリングとか出てくるかと期待したが、出てこなかったのは残念だったが。
まだまだ続きそうなシリーズなので、今後に期待したい。「笑うチャーチル」に出てきた書物偽造師、ミスター・クラウンとの戦いの行方も気になるところだ。
書物が人を躍らせる
★★★★★
このシリーズは作者の他の作品とは少し毛色が違うのだけれど、相変わらず面白い。今回は近現代史の歴史的事実を下敷きにして、書物狩人<ル・シャスール>の仕事を描いている。近現代史なので、現在進行中の歴史もあれば、第二次世界大戦にまつわる歴史もある。
世界中のアメリカ海軍基地に爆破テロを仕掛けるテロリストの犯行動機とミッドウェイで起こった人間以外の悲劇や、40年前にアメリカ空軍戦略航空軍団が引き起こした事故とポオの研究書との関係など、どこまでが事実でどこからが虚構なのか迷ってしまうほどだ。
ル・シャスールは暴力行為に長けていないと言うわけではないけれど、書物に携わる人間らしくと言うべきか、直接的な暴力は用いず、事態は常に水面下で進行し、彼が相手と対するときには、全ての解決が用意されている。
今回、書物狩人に対立する謎の人物ミスター・クラウンが登場し、次巻以降で直接対決する舞台が整った。メフィスト連載作なので順次発表されていくだろうが、ボクとしてはノベルス化される時が楽しみだ。