時代遅れ
★☆☆☆☆
何度も発売されている人気の録音ですが,
今日において存在価値を殆ど見出せません.
まず,非常に音が悪いです.
発売される度にノイズは少なくなっているようですが,
それと同時にいろいろなものが削られています.
戦前のラジオでも聞いているような感じです.
演奏も,スタンダードとするには水準が低いです.
チャイコフスキのピアノ協奏曲第1番は,
このレビューを書いた時点では,ヴォロドス盤が
演奏・録音状態とも頭ひとつ抜け出しています.
(といっても,この曲自体がそれほど好きではないので,
比較対象は10枚くらいしかありませんが)
ラフ2は古典的な解釈ならルガンスキー盤,
ピアノの音が聞きたいならツィマーマン盤,
でしゃばり過ぎないピアノと独特のオケを聞きたければ
アンスネス盤,重厚路線なら辻井盤,・・・
他に選択肢はいくらでもあります.
古い録音でも優れたものはたくさんありますが
(ポリーニやアルゲリッチのデビュー盤など),
これは明らかにその部類ではありません.
巨匠の名にすがって新人の育成を厭う発売元の
見識を疑うと言ったら,キツすぎでしょうか.