一番読みやすい訳。
★★★★★
ゲーテの小説のなかで、唯一私が読んだ小説。主人公が多彩な女性遍歴を通じて成長していくさまを描く。最初に面倒な演劇論があるが、そこを過ぎると大変おもしろく、内容の激しさに心がかき回されるような気がする。貴族・金持ちの商人・貧乏人と、社会が階層に分かれていて、それぞれ習慣が違うのも興味深い。この小説に含まれるミニヨンの挿話を子供のころ読み、いつか読もうと思っていたが40歳近くになってようやく全部読んだ。この普及版を買った直後に岩波文庫の新訳が出たのでがっかりしたが、買って文章を読み比べてみると、こちらの方がはるかに読みやすい。字は小さいけれど、一番おすすめの訳だと思います。