蕪村伯への憧憬をこめて
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蕪村のお墓を京都で見て、芭蕉への憧憬を蕪村伯が書かれた奥の細道写本で見ました。
そのお寺、金福寺の美しく静かだったこと・・・
蕪村伯の絵を銀閣寺でも拝見しました。むしょうに蕪村伯に憧れ初めて買った1冊目です。
またこの本をもって金福寺にいってみたいです
俳諧と南画の妙、蕪村の遊び心と肉声の一端がわかる
★★★★☆
蕪村とは「菜の花や月は東に日は西に」という句の作者であり文人画家として有名という教科書的知識しかなかった。この本を読んで、初めて蕪村の人となりの全体像をイメージできた。俳諧宗匠に就いたのが55歳だったということ大阪人で晩年は京都に住んでいたということ、与謝と名乗った由来もまた、初めて知った。蕪村の世界に一歩踏み込むには格好の入門書だ。菜の花の句の絵画性、その成り立ちの背景と創意についての解説は具体的でわかりやすい。また第6章春風のこころの「春風馬堤曲」は、蕪村の創造性と力量を多面的にとらえられる入門書の域を超えた解説であり、蕪村の遊び心が楽しめる。
芭蕉への傾倒、自己超越の洗練蕪村世界
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並列的章立てからすると、本書の構成は次の6本柱になる。
(1)「蕪村発見」の軌跡…啄木・白秋・晶子など近代歌人への影響もさることながら、俳人子規・詩人朔太郎の「蕪村再発見」は特筆に値する。「蕪村自筆句帳」発見は画期的。
(2)「芭蕉」へのまなざし…蕪村時代の素描…代表作「夜色楼台図」、芭蕉への希求、芭蕉本の出版、芭蕉復興に一役買う。俳諧行脚の流行、蕪村上洛、「夜半亭蕪村」の誕生、芭蕉像の形成につながる。
(3)俳画の妙…「又兵自画像」南画家蕪村。「野ざらし紀行図」「奥の細道図」、蕪村の俳諧画賛(自画賛)につながっていく。
(4)翔けめぐる創意…蕪村時代の興趣…名句「菜の花や月は東に日は西に」、夜半亭門下の句会、時空を翔ける「易水に葱流るる寒哉」、多彩な俳諧精神、情愛の俳諧。
(5)本のプロムナード…俳書と刷り物の匠み…俳諧一枚刷り、春帖、夜半亭撰集、蕪村句集未完の謎『夜半楽』
(6)春風のこころ…「春風馬堤曲」…蕪村畢生の魅力的名作…重ねる趣向の味付け…蕪村の真骨頂を見る…品位・洗練が蕪村の本質(自己超越)