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幸田姉妹

価格: ¥1,575
カテゴリ: 単行本
ブランド: ショパン
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日本の洋楽の礎を築いた二人の偉大な姉妹のお話 ★★★★☆
日本の洋楽の黎明期を知るにはこの二人の音楽家の功績をたどることが必須だと感じました。恵まれた才能をいかし、音楽の本場ウィーンやベルリンへ留学した幸田延、安藤幸の姉妹の生涯をおうことは日本の音楽史をたどる作業でもありました。
千島列島を開拓した探検家の郡司成忠大尉と『五重の塔』で知られる幸田露伴が二人の兄にあたります。皆、類稀なる異才に恵まれた兄弟姉妹ですね。

10数年前に公開された瀧廉太郎の生涯を描いた『わが愛の譜』のヒロインのモデルとされた安藤幸に関心を抱いていました。勿論これはフィクションですが、ヨーロッパを舞台とした美しい映像をこの『幸田姉妹』を読みながら思い出しています。

日本の童謡の魁となった「鳩ぽっぽ」「お正月」を作詞した東くめと安藤幸とが幼い頃からの親友であったとか、山田耕筰が留学した際、幸田延に相談した会話だとか、興味深いエピソードが満載でした。
日本人として初めて国際音楽コンクールの審査員に招聘されたり、女性として初の文化功労者に選ばれた安藤幸の業績の素晴らしさを知りました。日本の音楽界の先駆者として燦然とした輝きに包まれた生涯ですので驚きをもって読み進めました。

東京音楽学校校長の伊沢修二、お雇い外国人教師メーソン、19世紀ドイツの有名なヴァイオリニストのヨアヒム、国際的なソプラノ歌手の三浦環など明治の音楽界を考察するのには避けられない著名な音楽家や関係者がキラ星のごとく登場します。幸田延のお弟子さんも当時の華族の令嬢が多く、華麗なる人々の登場も本書の魅力の一つでしょう。
落ち着いた筆致 ★★★★☆
幸田延、安藤幸という明治日本の音楽界を先導した二人の女性の評伝。兄に郡司成忠、幸田露伴を持ち、一族の多くが有名人なので、上流階級のぜいたくな話のように見えてしまうが、著者はそのあたりも心得た上で、前半やや大げさな表現が目立つが、後半は落ち着いてくる。幸の息子・筆名高木卓が、唯一の芥川賞辞退者であること、根上淳の祖父がオーストリア人だったことなど、おもしろい逸話が多い。もっとも、山田耕筰が「幸田延の若い燕だと言われている」などと自ら言った、と自伝に書いているのは、書いていない。耕筰自伝と合わせ読むとおもしろい。滝廉太郎を主人公にした映画「わが愛の譜」のヒロイン役も安藤幸だが、これは著者も言うとおりフィクション。