魂はどこにある?
★★☆☆☆
『合唱魂』というタイトルですが、ここに収録されている大半の演奏には、魂が感じられません。ただ譜面通りに歌っているというだけ。いや、「歌わされている」という方が正確か。とにかく、とりあえず形だけ作りましたという感じ。
が、そもそもこの手のアルバムというのは、実際に歌う人が参考するためのものでしょう。そうなると、あまりに個性的なものであるとかえって困ります。ということで、当たり障りのない無難な演奏になっているのでしょう。しかしそれでは一般の鑑賞にはとても耐えられません。合唱をやっている人の間にだけ通用する、身内のアルバムだと思います。まあ中には、「これだけの演奏ができる技術がすばらしいのだ」と言う人もいるでしょうが、個人的には技術的には少々拙くとも、その歌に対する情熱が感じられる演奏を聞きたいものです。
わずかに魂が感じられるものといえば、「河口」と「怪獣のバラード」程度でしょうか。前者は福岡県合唱連盟の合唱団が演奏していて、さすがに「われらの歌」という意気込みが感じられます。後者は、やはりプロは違うと思わせる楽しい歌。そう、大半の演奏は、聞いても音楽の楽しさや素晴らしさが感じられない。
合唱好きの方に贈るオムニバス
★★★★☆
主に中学生や高校生の校内合唱コンクールにピッタリの曲が収録されています。演奏は玉石混交と言いますか、松原混声合唱団のような高い水準の演奏もありますし、中学生の合唱も数曲含まれています。これは等身大の演奏でしょう。一生懸命歌っていますが、お手本になるかどうかは微妙です。逆に中学生の演奏ばかりを集めるか、あるいは一般の合唱団に任せるのか、という統一感が欲しかった気がします。
團伊玖磨の「河口」は、オケ伴による福岡合唱連盟合唱団・長崎合唱連盟合唱団で、スケール感がでていました。神代混声合唱団による「涙をこえて」は、1969年にシング・アウトが歌った名曲で、今も歌い継がれているのは嬉しいです。佐藤眞の「大地讃頌」を歌う杉並混声合唱団は人数的な面での迫力には欠けますが、この曲の大きさをしっかりと表現しています。
東海林修が作曲した名曲「怪獣のバラード」も当時のヤング101による演奏です。NHKの歌番組『ステージ101』を懐かしく思い起こしています。新津市立新津第一中学校の「空駆ける天馬」、斐川町立斐川西中学校による「マイ バラード」などはしっかりと歌いきっており好感がもてます。
コンクールで素晴らしい成績を収めている福島県立安積女子高等学校合唱部の「瑠璃色の地球」のユニゾンでの音程がフラットなのは少し気になりました。日本一の実力が出ていないですね。ハーモニーは清楚で、可憐です。
松原混声合唱団による「信じる」「鴎」「千の風になって」の演奏には感動しました。大人の合唱ですし、これぞお手本です。歌詞の意味も明確に伝わり、若い世代の感性もうまく表現できていました。これらの音源の価値は高く評価できます。
懐かしい歌声が心に響きます♪
★★★★★
誰もが歌ったことがある、聞いたことがある合唱の珠玉の名曲が集っているこのCD。それもいい部分のみの厳選で、内容も充実した演奏だ。また最近有名になった「千の風になって」も収録。「河口」は珍しいオーケストラバージョン。「怪獣のバラード」はステージ101で特集されたときのポップ風で合唱の響きとは違うスタイル。他、大地讃頌・流浪の民など一流の合唱団による名曲がぎっしり詰まった一枚。一曲ごとバラで買うより絶対お買い得だし、内容は保証します。きっと中学・高校のときにあなたも戻れるはずです。
歌声に勝るものは、なし!
★★★★★
機械的なテクノミュージックや、豪華なアンサンブルがバックにある音楽もいいですが、シンプル・イズ・ベスト!歌声に勝る音楽はないと確信できる一枚です。プロばかりでなく、小学校から高校生まで現役学生さん達の素晴らしいコーラスを聴けるお得な一枚。乾いた心に響きます。