日本の代表的な生成文法研究者による学習文法書。生成文法の発想をもう少し前面に押し出して欲しかった。記述は分かりやすいので、英語を分析的に捉えることの好きな高２くらいの英語力のある人が読むと、読解や作文に役立つと思う。ただし、語法の説明は少ないので、辞書等で補う必要がある。多読（精読＋速読）、多作文（毎日のように英文を書く）の前提としての英語構造の概要的知識を得るうえでは良書と言える。

　生成文法の考え方や用語をちりばめた英文法書。取り上げられている文法項目やレベルは高校から大学受験レベルであるが、考え方や理屈が生成文法的なエッセンスに裏付けられている。文構造、右方/左方移動などに見てとれる。
　解説は非常にシンプルである。高校生や受験生が独学に利用したり、文法・語法上の詳細な疑問を解決する友にするのには向いていない。それには英文法解説や表現のための実践ロイヤル英文法などが向いているだろう。やや専門的に研究した経験がある中高の英語教員がみずからの専門と学習英文法の橋渡しをするのにはよいだろう。
　確かに取りあげられている例文は豊富である。学習英文法から一歩掘り下げて考えたいときの、生成文法の枠組みからの一つのアプローチであるといえよう。