美味しんぼ中後期の良巻
★★★★☆
まず、美味しんぼは長編になればなるほど、時期を問わず面白くなくなる(話が説明調になり、テンポが悪くなり、面白くなくなる)傾向があります。初期の巻にも同様のものは結構あります。
この60巻台は、金神との面白くも全くない長編がひと段落して、美味しんぼ本来の持ち味である「1話完結」が多く出てきた時期にあたります。
そのなかでもこの61巻は、扱っている内容がかなり良いと思います。
「日本人の原点」これを見せつけてくれるというのは、本当に「美味しんぼ」の原点を見せてくれる気がします。
昆布のうまみ、鰹節のうまみ、そして梅干し・・日本人の原点を描いている一方で、日本人の「西洋を礼賛し、東洋、日本古来のものを下婢する」という状態を、盆栽という日本の芸術を通して批判しているという点など、美味しんぼ本来の持ち味が久しぶりによみがえった巻だと思います。
もちろん、ほかの収録されている話もなかなかおもしろく、栗田山岡結婚後の美味しんぼでは一番面白い時期だと思います。