ポーリッシュ・デスメタルサウンドの王道
★★★★★
ポーランド出身のブラックメタルバンドの大御所「BEHEMOTH」による7枚目のフルレンスアルバムです。2004年にリリースされています。5枚目あたりから典型的なブラックメタルサウンドからブルータルデスへと一大転換を図った彼らですが、基本的には前作までの路線を踏襲しています。5枚目と6枚目でゲスト参加していたNovy(Vader)は今回不参加で、代わりにOrionという人がベース奏者として参加。また前作を最後に脱退したHovakに代わりSethというギタリストがセッションメンバーとしてクレジットされています。
サウンドとしては前作までの路線の延長線上にありますが、ブラストビートはさらにスピードアップのうえに破壊力が増し、また楽曲もさらにダイナミックに、さらに邪悪度が深まっているあたりが高ポイントです。オープニングは彼らの十八番になりつつあるアラビア調のアコースティックギターで厳かな感じで始まりますが、ほどなく舞台は暗転し、邪悪の限りを尽した壮絶なブルータルデスの世界へと聴く者を誘います。
限界を知らないブラストビートが下から五臓六腑を突き上げてきて、「もう限界!」と悲鳴を上げそうになるあたりで、これまでの緊張感を一挙に解放する美しいツインリード。そして、あくまでも邪悪の限りを追求するデス声。この緊張と緩和の絶妙なコンビネーションに翻弄されているうちに、知らない間に彼らの魅力にとりつかれてしまいます。ほどよくヨーロッパ的な情感を取り入れたブラックメタルサウンドの王道を行く彼らの最高傑作と言っても過言ではありません。