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かもめ・ワーニャ伯父さん (新潮文庫)

価格: ¥452
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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かもめ・ワーニャ伯父さん (新潮文庫)
人はずっと、分かり合えないの? ★★★★★
かもめのレビュー。

この作品を知ってからもう20年になるのに読むたびに新しい発見があります。
どうしても分かり合えなかったトレープレフとニーナ。
トレープレフに叶わぬ恋をして他の男と結婚して、自分を追い詰めるマーシャ。
生活の中で俗物の作家になったトリゴーリン。
人々のすれ違いの物語。

最初のトレープレフの劇中劇「一人の女神に集約された地球上の全ての魂」
淋しい魂たちが一つになっても孤独のまま。
そういえば、この女神のお話はエヴァンゲリオンの映画の結末に似ている。
というか、かもめ自体のモチーフと良く似ている。
100年も前の戯曲。
人間の発想力はもしかしたらずっと変わらないのかな・・・と思った。

結構、かもめは翻訳されている作品なのですが、
未だにこの神西先生の訳本に勝るものが出ていないと個人的に思う。
かもめを読みたい方にはお勧めの一品。
私はかもめ・・ ★★★☆☆
藤原竜也の舞台 かもめ を見に行くので予習として購入しました。

ん〜、ワーニャおじさんのほうが今の時代向きなのでは?

傲岸不遜、その実折れそうな魂をかかえた独りよがりなKY芸術家って、ふらっと美女によろめく田舎の哀れなおっさんより遥かに前近代的におもえるのですが・・

実際舞台で見ると動きが加わり、スクリプト状態で理解し切れなかったところも感じられてよかったです

かもめ、ワーニャおじさん二作品ともにでてくる中年で美男の物慣れた鄙に似合わぬドクトル
がライトサイドチェーホフなら、トレープレフは貧乏で才能も認められぬダークサイドチェーホフなのですね
静劇の誕生 ★★★★★
 『かもめ』は四大劇の幕開けとなる作品で、若手劇作家トレープレフと女優志望の娘ニーナ、そして流行作家のトリゴーリンらを中心とした喜劇である。
 血気盛んで純粋なトレープレフであるが、ニーナの愛は中年の魅力漂わすトリゴーリンの方へと向かってしまう。トレープレフの想いは虚しく、やがて二人は結ばれるが、長くは保たなかった。数年後。トレープレフは作家としてそれなりに成功するが心はいまだ傷ついたままであった。
 そんな彼はある日ついにニーナと再会するが、ニーナは運命に辱められながらもまだ、女優という夢を諦めてはいなかった。ニーナが自分と同様に生きる活力を失っていることを期待していたトレープレフはこのことに絶望し、もはや生きる意志を失ってしまう…。
 題の「かもめ」が示すのは、自由に空を飛んでいながらもいつかは撃ち落とされ、そしてやがてはそのことすら忘れられてしまう若者の無垢な魂である。
 『ワーニャ伯父さん』は大学教授である義弟の成功に期待を寄せていたワーニャ伯父さんが、その期待に裏切られ幻滅し、これまで十年以上の自らの努力の無意味さに気づかされ、絶望する劇である。
 彼もまた運命に辱められ生きる力を失うが、失恋によって同じく挫折を経験した姪のソーニャが最後に伯父に向けて生きることの大事を説く。
 結末部のソーニャの台詞は人生の苦痛に耐えながらもなお生きようとする意志に満ちており、頗る感動的である。
 以上のように、これまでの劇では描かれないような失敗、挫折、絶望にチェーホフは初めて舞台上で焦点を当てた。それは近代劇に新たな光が灯った瞬間である。読み物としても存分に価値のある二作品なので、ぜひ読んで欲しい。重みのある現実感と人物の優しさは、一生を生きる上での糧となるであろう。
今日まで演じ続けられる理由 ★★★★★
かもめにしろ、ワーニャおじさんにしろ、チェーホフの戯曲は静劇と呼ばれるだけあって、大きな事件のないまま淡々と物語が進みます。
それでも桜の園や三人姉妹よりはショッキングな終盤を迎えますが、登場人物のやりとりや結末に至る話の展開の妙を感じました。色々な解釈を施され、今日まで演じられ続ける理由が良く分ります。
人を愛するとは ★★★★☆
トレープレフは賢すぎたのだと思う。ニーナが自分から離れて行く、もう二度と戻って来ることはない。その後に自分に起こり来るであろう
衝撃や精神の悶え苦しむ様が、彼にとっては瞬時に判断出来得る「予想の範囲内」だったのだ。
もう二度とこれと同じ愛を捧げる相手に巡り会うことはないという事もはとっくに知っていた

 男の純粋さ、女の強かさよ
人類はそれだから悲しく、それ故に永遠に存続していくものなのだ