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未知の国スペイン―バスク・カタルーニャ・ガリシアの歴史と文化

価格: ¥2,100
カテゴリ: 単行本
ブランド: 原書房
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スペインの3地域について歴史・文化・言語について概観できる良書 ★★★★☆
 スペインは文化的・民族的に多種多様な国として知られるところ。本書はそのスペインの3つの地域に焦点をあてて一般読者向けに平易な文章で語りかける一冊です。著者はスペインの国立バジャドリード大学大学院を出て、現在同大のアジア研究センター研究員を務める人物。

 カタルーニャ地方へ出かける予定にしているので該当ページだけ読むつもりで手にしたのですが、語り口の簡明さに魅かれて全ページ読み通しました。
 特にバスクについては歴史や言語の特徴を一通り概観できましたし、Rhマイナスや染色体ではcDeが多い(ヨーロッパ人に比べるとCdeが少ない)という特徴などについても触れていて興味が尽きませんでした。 

 最終章「スペイン人の虚像と実像」は現代スペイン社会に残存するフランコ独裁体制の思想について取り上げています。これもまたとても興味深く読みました。徹底した全体主義・国粋主義思想の時代が終わってまだたかだか30余年。当時の強い思想統制のもとで教育を受けた世代はまだまだ現役ですから、澱(おり)のように社会のいたるところに残存していても不思議はありません。
 われわれ日本人のことをかつては、「スペイン語も出来ない背の低い人種」としてさげすみの対象として教えられていたという事実を前に寒い思いにとらわれます。

 なお誤字脱字が少なからずあったのは気になりました。
 バスク語の特徴について記した箇所には、「この点からもバスク語は非インド・ヨーロッパ語系の言語ではないことが分かる」(88頁)とありますが、これはどうみても前後の文脈と合いません。これは、「バスク語は非インド・ヨーロッパ語系の言語であることが分かる」、もしくは「バスク語はインド・ヨーロッパ語系の言語ではないことが分かる」とすべきところでした。