孤独を感じたら思い出してください。
★★★★☆
希望を持てず何もかも否定して森へ逃げた女の子は、ある出会いによって時間をかけてゆっくりと心の傷が回復していきます。
それは優しさに包まれる事、愛情に包まれる事、自然にふれる事、愛情をわけてあげられる事、将来に不安を持たない事、今を大事に出来る事、温もりを感じられる事を自ら体験したからです。
『さびしすぎて なにが たりないのか、なにが ほしいのか わからなかった』と言う女の子の台詞が哀しく響きます。
ありのままの自分を必要としてくれるという確かな愛情を感じられたとき、相手を受け入れて、生きるという喜びが生まれるのかもしれません。
今を生きているアナタへ・・・。
ひとりで頑張りすぎていませんか?
誰の力を借りて生きていますか?
もし一人でいることが辛いと感じているなら誰かの力を借りてください。
いつまでも生命が輝いていくことを願っています。
この絵本はこう語りかけているように思えます。
心の鎖を解き放つ出会い
★★★★★
「あなたは いいこ だから わたしは あなたが すき」
親に言われ続けてきたこの言葉が 女の子にとって心の鎖になっている。
誰からも「いいこ」であろうとするあまり、自分を押し殺してしまう姿が
たまらなく痛々しい。
絵本でよく描かれる仲のよい親子関係は本書には無い。
女の子は「いいこ」という呪縛の犠牲になって心が破綻していくのだ。
しかし、親がそのことを知る機会は永遠に無いのです… なんともむなしい。
世の中には、一方的に自分の価値観を押し付けてくる者も多いですが、
それが子どものように立場に弱い者に対して行われると、無性に腹が立つ。
押し殺された気持ちは、心の底に積もり積もって、いつかどこかで噴き出す
ことを覚えていて欲しい。
物語ならば救いもある。
女の子はクマとの出会いによって、本来の自分と出会えたのが幸いだ。
いいこのノロイ
★★★★☆
「いいこ」にしてるから「好きよ」
じゃあ「いいこ」にしていなかったら「嫌い」…?
と言う親子が陥りがちな罠が美しくも怖い絵本になりました。
宇野亜喜良の絵は怖くていいなぁ
他にもいろいろあるけれど
「少女」と「くま」は相性が良い組み合わせだな。
大人っぽい絵本だけれど、
渦中にいる子どもに読んでもらいたい。
かつて「いいこ」だった大人にも。
少女の美しい傷が癒えるまで
★★★★★
「あなたは いいこ」
おかあさんが いいました。
「だから わたしは あなたが すき」
という、世にも悲しい始まりの絵本。美しく、悲しく、メランコリー親和型の典型のような「いいこ」の少女が、傷つき、そして再生するお話。
挿絵も痛々しく、美しい。
泣きました。傷ついた大人に、読んで欲しい本です。