全集の別巻が待ちきれない方にお勧め
★★★☆☆
著者は既に『安部公房レトリック事典』(新潮社)において、<読める安部の年譜>をまとめていたが、今回はそれを大幅に増補・改訂。放送・上演作品の目録や参考文献も追加して、さながら、なかなか刊行されない『安部公房全集・別巻』のたたき台的役割を買って出ているかのようだ。これが良いたたき台になっているかどうかは判断が分かれるところだろうが(桑原真臣氏などは批判的だろう)、とりあえず安部マニアはチェックしておくべき逸品である。参考文献のまとめ方にはもう少し工夫があっても良かったと思う。