武宮流囲碁感習得のための問題集
★★★★☆
武宮九段は、「あくまでも地は最終の結果であり、最初から地にこだわる必要はない」と説く。「碁は常に全局からとらえ、石の方向を考えて働きのよい石やいい形を作ること」に徹するように、と。
これは、同じ出版社の「武宮の形勢判断−地を囲わない努力」に記されている考え方と、当然ながら同じものである。「武宮の形勢判断」は、主として武宮九段の打ち碁を題材とし、一局の流れに沿って説明がなされている解説本であったが、この本は、その武宮流囲碁感を習得するための問題集と言える。
まず第1章で考え方の解説がなされた後、強くなる為のポイント4つについて、5つの章にわたりアマチュアの実戦を題材とする問題が出題されている。ポイント4つに対して章立てが5つになっているのは、「効率的な石の形をつくる」という点について、「形の急所」と「効率的な石の働き」との2つの章が使われているため。
他に色々と出版されている格言集やアマチュアの碁の手直し本と、重なるものがあると感じる部分もあるが、強くなるための法則を4つに簡潔にまとめた所と「わかりやすい」と感じさせる武宮九段の解説が、この本の特徴と言えると思う。