笑ってはいけない。世界でも注目された野心的な試みなのです
★★★☆☆
いくら、バッハが懐の広い音楽家だといっても、琴と尺八でアプローチですか? 通常であれば、キハモノとして手を出さないのが通例なのだが、その尺八を山本邦山(ジャズ・ファンには「銀界」で有名)が吹き、バックは、中牟礼貞則がキター、猪俣猛がドラムスで、前田憲男がアレンジ−−と来れば、一転、ジャズ好事家の食指が動く。
しかし、実際にきいてみたところ、ダルイ。帯の音楽分類は「CROSSOVER」となっていたが、ま、確かに、それはそうなんだが...
変に、ジャズのギター・トリオなんか入れずに、純粋に琴と尺八にしてしまえばよかったのかな、それとも、原メロディーを大胆に翻案してアドリブに徹すればよかったのかな...よく判らないが、とにかく、なんか、生ぬるい音楽なのです。
スイングル・シンガーズの「ジャズ・セバスチャン・バッハ」の持っていた適度な緊張感とは大違い。
購入を検討している方には、過度の期待は禁物、と申して置きましょう。
なお、本作は元々、昭和44年1月に第一集、45年6月に第二集として販売されたものを、好評のうちに(?)昭和46年に2枚1セットで再発されたものを基にしているようだ。そのときの宮本啓氏のライナーが復刻されている。ただ、同氏による最新の追記も追加されているが、そこには、肝心の当時のエピソードがあまり語られていない。せっかくなのに、残念です。