正に大衆酒場でひとり呑みの本。
★★★☆☆
一人居酒屋で酒を飲むに手取り足取りという感じのA-Z本だ。まずは第1部にて「ひとり呑みのすすめ」で一人酒の飲み方を指導(或いは紹介)している。ここまで書く必要はないだろうと思う程に、初歩からだから凄い。「店の前まで来ました。ひとりで酒場に入るとは・・」「引き戸を開けて店内に入ると・・」には恐れ入る。一応念の為に酒場での著者の「私的五ヶ条」を記すと、(1)お邪魔しますの気持ちで臨む、(2)のんびりと楽しむ、(3)酒や肴そのものを楽しむ、(4)酔いを自覚する、(5)自分の責任で飲む、ということだそうだ。酒、人、肴を軸に、酒場好き、酒好き、酔い好きに分れるとか、酒場で何が飲まれているとか、これら講釈は読者によって「何とありがたい解説」か或いは「おせっかい過ぎ、不要」のどちらかだ。第2部は著者自身のひとり呑み酒場訪問ドキュメンタリーで面白い。ジャンル別に、「大衆酒場」10店、「立ち飲み」5店、「もつ焼き・焼鳥」9店、「老舗・小料理・酒亭」9店、「専門料理」7店、「バー・パブ」6店の計46店舗を紹介する。日付に時間、何を飲んで、何をつまみに、支払がいくら(殆どが千数百円と安い)と詳しい家計簿的日記になっている。どんな酒が置いてあり、どんなメニューがあるか、いくらか、とてもわかりやすい。一方で、西武新宿線沿線(沼袋、野方、都立家政、鷺ノ宮)が12店、中央線沿線(中野、阿佐ヶ谷、荻窪)が14店、王子、十条、赤羽、鴬谷、北千住方面、これで31店を占めるのはエリア的に偏り過ぎであろう。
太田何がしよりも、より大衆的、だから文化
★★★★☆
店の選び方が大衆目線なのがいい。
太田某は、確かにすばらしい店を紹介してくれるのだが、いかんせん知的過ぎる。しかも高い。
たかが酒、されど酒だが、あまり薀蓄を言われるのも嫌。「…酒は静かに呑むべかりけり」ではなかろうか。
まあ、好みの問題でもあるのだが、それでもこちらのほうが気取っていなくていい。
難は、彼のブログでもそうだが、新しい店が発掘されていないこと。まだまだあるのだから、保守的にならずに、吉田類的に、暖簾をくぐる勇気が欲しい。
ブログを見た方が・・・
★★☆☆☆
ブログの再編集。
太田和彦氏の文章の方がより栄える。
名店案内にしても、先達により紹介し尽くされており、
プロの作家ではないため、わざわざこの作品を購入する価値は余り感じない。
他誌又は実地により情報を既得している御仁にはお勧めしない。
ただ、ブログにより、頻繁に居酒屋の情報・感想を更新しているその継続性・努力には
敬意を表する。
ひとり呑みする勇気を与えてくれた
★★★★★
いつかは、行きつけの店で、ひとり呑みしてみたなあ、と大人のおじさんにあこがれて思っていましたが、これって、なかなか勇気がいるんですよね。この著者も全く同じで、最初は落ち着かなかったとか。しかしある時、酒場を温泉のようにひとりで楽しむ気持ちの持ち方に変えて見ることに気がついたという。なるほど。私もこの言葉に勇気づけられました。近々ひとり呑みにチャレンジしたいと思います。この本は、ひとり呑みするときの心得や、始めていくお店での振る舞い方など、押しつけがましくなく、教えてくれます。そして東京の都心から郊外の町まで、さまざまな大衆酒場をルポ形式で料理と店の店の雰囲気を伝えてくれます。酒の肴の描写もうまそう!と思ってしまうほど文章もわかりやすく上手です。飲んべえにはぜひおすすめの本です。