気持ちのいいストライド
★★★★★
新聞のインタビュー記事にこのピアニストが載っていたのですが、CDを出すほどのアーティストでありながら、パナソニックで普通の会社員をしているのだそうです。会社勤めをしながらこれだけのクォリティを持ったアルバムを出すなんて、同じサラリーマンとしてはちょっと信じ難いというか、素直にすごいなと思いますね。
アルバムタイトルにもある通り、ストライド・ピアノを思い切り楽しめる内容になってます。ストライドはたぶんファッツ・ウォーラーがし始めたんじゃないかと思いますが、1拍目と3拍目にベース、2拍目と4拍目に和音を弾く奏法です。よく耳にする形なので珍しくはないんですが、この人はとにかく早い。1曲目からすごい飛ばしまくってます。ここまで早いと鍵盤を見ながらではまず無理でしょう。鍵盤の感覚を完全に体にしみこませていないと弾けないと思います。もちろん早い曲ばかりではなく、ミドルテンポで気持ち良くスイングする曲もありますし、「世界に1つだけの花」なんてのもあり、初めから終わりまでとにかく聴いていて楽しいアルバムです。
ピアノの音がこれまたいいですね。写真を見るとヤマハを弾いているようですが、高域の伸びを抑えていてジャズ・バーのピアノのような音色。録音も余計な残響も無く、かと言って耳に張り付くわけでもない、演奏そのものを楽しめる音に仕上がっています。
本当に楽しく気持ちいいアルバムですが、最後にオリジナルのバラードで締めくくります。オリジナルはこれ1曲のみですが、これを聴くと明日もまたこのCDを聴きたくなります。