「困難さ」
★★★★☆
今回の作品は「失敗作」である。「良い音楽」と「売れる音楽」に違いがあるのかないのかは良く分からないが、少なくとも売れること、あるいは聞かれること、つまりリスナーの数をある程度増やすことが良し悪しの判断を可能とする前提条件であるのであれば、その前提条件を満たさない限り、彼等の音楽が目指そうとしている境地の「困難さ」は常に「難解さ」と混同されるであろうし、挙げ句には「自己満足」というレッテルを張られる危険性を孕んでいるのではないだろうか?良いか悪いかの判断以前に「難解」であるとか、「わけが分からない」と言われてしまうであろう作品を絶賛することは少なくとも商品であるかぎり不可能である(だから星4つ)。少なくとも"Divorce","Alcatraz"という二曲のキラーチューンを含んでいたにも関わらず"why don't U come to my place?"という彼等の目指す境地の「困難さ」を露骨に示す曲をシングルカットしたことがこのアルバムの失敗の一因であったのではないか?アルバム自体は極めて計算された優秀な作品であるがゆえに、その戦略提示の失敗が悔やまれる。