米空軍の強さの秘密
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世界最強の空軍は、いうまでもなく米空軍ですが、普通は戦闘機の能力とか兵装の凄さに目が行きがちです。でも、なぜ米空軍は強いのか、その強さの秘密を「空戦演習」から描き出した作品は皆無でした。本DVDは、ラスベガス近郊のネリス空軍基地で行われる「レッドフラッグ」演習の14日間を追跡したものです。演習初日のブリーフィング、ブルー4と呼ばれる訓練生チームと、彼らを極限まで扱きあげる「アグレッサー(F-16)部隊」との格闘シーンが満載されています。しかし、何といっても最も迫力あるのは、F-15EやB-52Hによるレンジ(演習場)への実弾爆撃訓練でしょう。あれほど爆撃して環境被害がでないのかと心配になりますが・・・。演習ではさらに、チュラリア国とコルージャ国という現実には存在しない国に分かれて、ウォーゲームを繰り返す様子が描かれます。最後は、F-15Eがチュラリアに猛爆撃を加え、防空部隊を壊滅させた上で、C-130による陸上部隊の投入を空中から援護します。また、HH-60ヘリによるパイロット(ベイルアウトした兵士)の救出シーンもあり、こちらはA-10攻撃機がフレアを放ちながら援護します。
このレッドフラッグ演習に関しては、数年前にディアゴスティーニの「ワールドエアクラフト・ビデオコレクション⑦」でも紹介されていたのですが、兵士へのインタビューの多さや爆撃シーンの迫力においては本DVDの方が上でしょう。レッドフラッグを前にしたとき、航空自衛隊の射爆撃訓練などは子供だましにしか見えないでしょう。レッドフラッグにはイスラエル空軍や英仏空軍も同盟軍として参加しており、任務の分担を求められている自衛隊にとっても、今後レッドフラッグ演習に参加すべきかどうか議論されていくのでないかと注目しています。