すべてを解放し、すべてをゆだねられる。。。「美しき名盤」
★★★★★
1999年、THE FLAMING LIPSの作品です。
再生ボタンを押して出てくるサウンドは、
まるで、60年代後期〜70年代初期のようなロックサウンド!
精神的に、「ロックがロックらしかった時代」のサウンドに、
おもわずニンマリしてしまいます。。。「分かってはる人たちや〜!」って
曲は、ミドルテンポで、ゆったりとしています。
ふわふわシンセでサイケデリックになったり、レトロなギターに懐かしい感覚・郷愁感が沸いてきたりします。
段ボール箱をボカスカしたようなドラム・サウンド、温かみを持ってボトムを固めるベースは、素晴らしい安心感を与えてくれます。
ヴォーカルについては、上手いとは言えませんが、
憂いを含んだ、はかない消えそうなヴォーカルで、英国ロックに通じる感じです。
ミック・ロンソンのギターのような、「おセンチ感、たっぷり」なヴォーカルでして、「日本人好みでは?」と思います。
「サイケデリックな無限の広がり」を感じさせると同時に、「胎児のような、内への安心感」を感じさせてくれます。
理屈抜きで、ちょっとボリューム大きめにして、
「自分のすべてを解放して、サウンドにすべてをゆだねる」ようにして、聴いてください。
耳で聴くのではなく、体で聴いてください。。。体感する音楽です。
いろんな人に、オススメできるアルバムです。
(特に、60's・70'sロックが好きな人に、オススメです)
光と陰
★★★★★
「10年前」。
フレイミング・リップスの現在に至るまでのキャリアを運命付けた大傑作である。
考えてみるとこの前に発表したのはCD4枚組みという途方もない試みであった問題作「Zaireeka」であり、次の作品を発表するのさえ困難である、という状況に至っていたはずだった。しかし彼らはバンドサウンドを基盤にした作風を一気に転換、コンピュータによるサウンドを徹底的に織り交ぜてドリーミーな曲調に仕上げ、メロディーは素直なキャッチーさを追求。結果、最高にメロディアスでまばゆいばかりにキラキラ光る楽曲群となっている。一部の評論家に「90年代のPet Sounds」と言わしめたのも納得の、率直に「美しい」といえるサウンドを作り上げたのである。
だが、その背後には漠然とした「陰」を感じずにはいられないのだ。
「テクノロジーの中における人間性」という命題はロックの一つのテーマであると言えるが、その追求には必然的に闇部(「陰」)の表現が伴うはずであり、単にテクノロジーを同居させるだけでは不十分である。本作はそれに成功していると思える。同じ命題を追求した作品として「OK Computer」とも対等に渡り合えるくらいのアルバムである。あちらは結果として、偶然到達した境地であるのに対し、こちらは正攻法で到達した境地である。いずれにせよ、双方とも90年代を代表する名盤であることに疑いの余地はない。
このアルバムの製作において重要な働きを担ったプロデューサー・Dave Fridmannは、この翌年ナンバーガールと共に「SAPPUKEI」を作り上げている。なんだか、興味深い話である。
美しい。
★★★★★
1983年にusのオクラホマ州で結成。
インディー通産10枚目かつ5th albumで、この時はもう三人組。
再生ボタンを押したと同時に流れ出す、サイケでドタバタしたドラムの音と美しいハープの旋律。
これで胸をやられたかと思いきや、その次に流れ出す、ヘロヘロなvoがなんともたまらんのです。もう高音とか出し切れてなくて苦しそうなのが尚良い。
3rdまではアメリカンサイケデリック/ガレージみたいな解釈だったみたいですが、4thのウケ狙いな発想からこんな方向へ。
様々な楽器がハーモニーを重ねていて、ポップ・オーケストラな仕上がりです。「lsd漬けの白昼夢」なんて形容のされ方するだけあって、聞いててとても気持ちイイです。
捨て曲なし!コレは名盤!
電子の賛美歌
★★★★★
リップスが一気に化けたことで有名なこの作品。その後のアルバムは、このアルバムの路線を踏襲したものになっていると思うのですが、やはり、無防備なまでの愛に包まれたこのアルバムが一番素晴らしいと個人的には思っています。
「Race for the Prize」のシンセサイザーのリフを初めて聴いた時には、本当に世界の全てを肯定したくなるような恍惚に包まれた記憶があります。そして、そのくせリップス特有の、正直ドラムだけ抜き出してギターウルフの新曲のドラムだけ、と言われても信じてしまいそうなあの愛すべきドタバタとした(?)リズムは健在で、こんなバランスを保っているのは間違いなく世界中でこのバンドだけだと思います。
あの夏の思い出
★★★★★
90年代ロック史に残る大名盤です。リリース当時第1回サマーソニックにてライブを見ました。今はどんなかわからないけれど、この頃のリップスは完全に神がかっていました。打ち込みのビートにシンクロした映像がスクリーンに次々と映し出されボーカルのウェインが狂ったようにドラを打ち鳴らすライブは圧巻で僕は生まれて始めてライブを見て泣いてしまいました。僕にとってこのアルバムはあのライブとあの夏とセットなんです。サウンドもこれ以降のリップス作品の原点と言える内容で一番聴きやすいと思います。他のアルバムでグラミー賞とったりするんですが僕はこれが一番だと思います。ピンクロボッツとかミスティックスはちょっとやり過ぎ感があってどうもこのアルバム程は好きになれませんでした。デイブフリードマンが関わった作品の中でも特別な存在だと思います。人の人生を変えてしまう可能性のある数少ないアルバムの中の一枚です。