沖縄の染めと織りへの最適の道案内
★★★★★
本書のような手頃な厚さの一冊で沖縄の染織や文化を広くとらえることのできる本は今までなかったように思います。見応えのある染織品の美しい写真が豊富に載せられており、見ているだけで楽しく、沖縄にはこんなにいろいろな染織があるのかと教えられました。そのうえ、溌剌とした詩情豊かな文章で、作品の背景、職人たちの心情、土地の人びとの生活にまでふれています。沖縄の染めと織りに魅せられた著者の、伝統技能への思い入れがしずかに伝わってきます。表題をあえて「琉球の」とした点にも、意味を込めたのでしょう。ともあれ、リゾートとしてではない沖縄の魅力が詰まっており、沖縄好きの人や、着物に関心のある人にもお薦めの、間口の広い本だと思います。