価値ある一冊
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日本のすべての基になっている対米従属というのがどういったものなのかの概略がつかめます。(もう現在進行形かもしれませんが)日本の将来を考える上で価値ある一冊です。
自分の考えや視点がほんとに自分のもかどうか
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国際政治外交はルールのない駆け引きで誰が何を望んで何をしているかはとてもわかりにくい。
そしてその結果はすべての人に影響を与える。
それにもかかわらず我々はそのことにひどく無頓着で自分に関係ないと思っている。
米軍基地問題のように日本人にとってとても大事なことにしても表面的なことしか知らないためにマスコミの言っていたことが自分の意見になってる。
ちょと考えればおかしなことはたくさんあるのに。例えば普天間基地はなんで必要なの?なくても誰も困らないじゃん(米軍だってたぶん困らない)とか。
日本に米軍基地がないとだめだという考えはどうしてそう思うのか考えるとマスコミがそう言ってるからとしか理由を思いつかない。
なんにしろ日本のマスコミがいかにだめかを実感してしまいます。
マスコミって何のためにあるのだろうか。今の日本のマスコミはプロパガンダ機関になってしまったけど、この本の作者のような人がいてくれるならまだ大丈夫なんだろうと思いたい。
いやー、おもしろかった
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いやー、おもしろかった。
著者の論理は、シンプルで明快だ。
複雑怪奇に見えるこの世界を、シャープなメスで腑分けする(以下僕の勝手読み)。
@近年、この世界を支配してきたのは、多極派(「資本の論理」)と米英軍産複合体(「帝国の論理」)というふたつのパワーだ。Aいま多極派の勢いがいい。それがいま世界中が「多極化」している理由だ。Bアメリカの一極支配が消え、中国を筆頭に次の勢力が台頭しているが、そのシナリオ自体も、実は「多極派」の演出だ。C「資本の論理」(多極派)対「帝国の論理」という構図は日本にも及んでいる。「多極派」の鳩山・小沢らはアメリカ離れを意図し、日米中三角外交へと舵を切った(それがこの本のタイトル「対米従属を脱する」の意味だろう)。D自民党はじめ外務省、官僚、マスコミらの「対米従属主義者」(「帝国の論理」)にとって、これは許し難い。戦後60年間続いた権力構造を根こそぎ崩されるから。――こんな具合に著者は世界と日本をぶった切る。
どの新聞雑誌・テレビを見てもわけのわからぬ解説(や単なるわめき)が横行する中で、田中宇の視点は、まさに快刀乱麻。ずばずばとベールに包まれた闇を切り裂く。著者の言うこがすべてが正論かどうか僕には分からないが、少なくとも構造図がほの見えた。
それにしても疑問がふたつ残った。@日本の「対米従属主義者」は劣勢を挽回できるのだろうか。対立軸をちゃんと出せるのだろうか。あいつら、心許ないなあという印象が強いAあの小沢叩きは何だったのだろう? 田中角栄をやっつけた同じ手口だというメールが舞い込んできたが、ノンポリの僕にも、単なる政治資金規正法違反とは見えなかった。やはり検察を巻き込んだ権力闘争なのか――どうなのだろう?
ファンファーレもならないけれど。
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昨年政治経済にトーク番組を見ていた時、鳩山総理の普天間問題に関する八方美人的な発言の数々に、民主党系の出演者が、別の討論者に付け込まれ、「国民も日米同盟に対する関心を強くしたのでは」との軽い返答(ジョーク?)に失笑をかった場面があった。日米同盟、アメリカ追随は日本の国是と感じている方にとって、あまりに幼稚なバカな話をするなと思っただろう。しかしながら田中宇氏の本書を読むと、巷で流れるマスコミ各誌の論評とあまりにかけはなれる政治、経済の記事に唖然としてしまう。
但し、以前ならアウトサイダー的な人物として失笑されたかもしれないが、今となっては非常に興味をよせる部分が多い。世界政治の力学が変わろうとしていることは間違いない事実であり、今後G8からG20へその流れは加速するだろう。米国周辺にある多極派と軍産複合体の争いは、今後の日本の針路を占い上でも非常に重要なところであり、昨年民主党政権に政権交代して、ぽっとでたような普天間問題が、逆に今後の日本の針路を組めることになるであろうという田中氏の解説には説得力があるし、今後の政治動向を注視したい。それと非常に大事な部分であると思うが、今回の普天間、日米同盟の今後の展開は、一昨年起こった米国のサブプライム金融問題の事の重大さが発端になったもの、しいては米国の覇権が、ドルの基軸通貨の信頼が消滅、弱まることから起こったものと述べている。田中氏は、副島隆彦氏と同様に米国はサブプライム金融の問題で、すくなくともここ数年で大変な経済苦境に立たされるとも語っている。国内の新聞各紙では今年の秋頃以降には我国含め米国、世界経済も回復との楽観記事が多く占めている。但し、昨年米国で行った金融機関に対する不良債権試算のストレステストがあまりにいい加減であったこと、商業用不動産を含めた金融機関の天文学的な不良資産の問題、FRBの財務内容の問題、米国の失業率、個人消費の低迷など、まだまだ米国の経済回復には大きな疑問を感じるはずである。日本の景気回復は当面、中国の内需だのみとならざるをえないであろうが、今年は米国の今後が日本の今年一年に占める影響が強いであろうと本書を読んで、なおさら時間した。歴史が変わる時は、ファンファーレはならないものであろう。
日本のマスコミが伝えていない世界の常識がここに
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「もし日本のマスコミがちゃんと答えてくれるんだったら、僕はまだ楽しく読者をやっていますよ」と本書のインタビューで語っているように、著者は、マスコミ記事で読んでもわからない部分を、世界に出回っている大量の英文情報を詳細に読むことで、自分なりに理解しようとしてきた人物である。そうして得た自分なりの分析結果と論拠とした英文情報をネット上(「田中宇の国際ニュース解説」)に無料で配信することを14年も続けてきた。著者の記事のおかげで溜飲が下がる思いを何度も経験したし、おそらく同じ思いの読者が大勢いるのだと思う。18万人という配信読者数がそれを示している。
本書は08年リーマンショック以後の分析を読みやすくまとめたのもで、私たちがいま、歴史の大きな分岐点に立たされていることを伝えている。日本が、世界が「対米従属」を脱するとは何なのか。またアメリカもそれを望んでいるとはどういうことなのか。流行りの幕末以上に大きな変化の中にいることを知ると、もっと面白くこの時代を生きることができると思う。
ドル崩壊を予測した彼に民主党関係者がコンタクトをとってきたそうだが、アメリカの特定の機関が情報源でないことを知ると、二度と連絡をしてこなかったそうだ。「独自」に情報収集したことのほうがはるかに重要だと思うが。日本のマスコミが伝えていない今日を知りたい人には必読の一冊である。