良かった。
★★★★☆
静かな映画だったけどついつい見入ってしまった。まぁ、良くできた映画と言って良いだろう。
終わり方がちょっと?だったけど、つまりは一つの家族に焦点を当てた物語だったのかな。
最初のあのシーンは、本当に必要ない。刺激的すぎて他人と一緒に見られない。
どうしてアメリカ映画は不必要なああいうシーンを入れるのだろう。不快。
よほど仲の良いカップルや友達、または夫婦で無い限り、一緒にみると気まずくなるかもしれない。(最初のシーンだけですけど)
この映画、P・シーモア・ホフマンの腹以外に無駄は一切なし。
★★★★★
ストイックで超エネルギッシュな映画。後味は悪いけどね・・・
インテリ会計士の兄と、離婚して娘の養育費に困るボンクラ弟。それぞれの理由で金に困った二人が、両親の経営する宝石店を襲撃する計画を立てる。次々重なる誤算から、徐々に追い詰められる二人の計画の結末はいかに…ってこれだけなら割とありそうなのに、これがホントにドキドキしっぱなしでたまらない。それは時間軸をガンガンシャッフルしながら「あれどうなったの?」という観客の興味を引っ張り続ける語り口が成功しているからだろう。タランティーノが広めたこの手法は、いまや少々スノッブな匂いさえするが、この超ベテラン監督は手法に溺れるような愚を犯すことなく、効率的にストーリーを運ぶために巧妙にシャッフルを仕組んでいる。
役者陣もイイ。フィリップ・シーモア・ホフマンやっぱ最高ですわ。僕この人が人差し指立てて「…f**king・・・」とか怒鳴ってるシーンがあればもうそれだけで満足です。いや、この映画はそもそも傑作なんですが。あと、イーサン・ホークの芝居もいいよ!かわいいよアンタ!
まだ付き合って日が浅いカップル以外は、観て後悔することは絶対ない映画です。
ダメのベクトルの違い、真性にダメは誰だ?
★★★★☆
小さな宝石店を朝早くから強盗が襲ってきますが、店主の銃撃による反撃で失敗、車で待機していた男が仲間を置いて逃亡するところから、物語は進行するのですが、様々な人の思惑が重なり合い、しかも見せ方が時間の流れを単一ではなく、それぞれの登場人物の目線で、少しづつ受け手に分からせる(しかも効果的に!!)編集をしているのところがとても面白い作品です。強盗という現象が起こる部分を先に見せておいて、その後に関係者の目線でその現象に至った経緯を過去に戻って理解させるのですが、説明が無いのに、その人物の傾向が分かる、という演技と演出が素晴らしかったです。
兄のアンディに一見普通の人に見えて、内になんらかの普通でない要素を持っているのが分かるフィリップ・シーモア・ホフマン、弟に今回のダメっぷりは非常に好感を持てた心優しくも優柔不断なだけの生き下手な男にイーサン・ホーク、兄の妻に妖艶だけどどこか抜けてる感じのするマリサ・トメイ、そして兄弟の父、ただの頑固に見えるが実は・・・にアルバート・フィニーというキャスティングが良いと思います。
レザボア・ドッグスが好きな方にオススメ致します。
アテンション・プリーズ
特にこの映画は何の情報もなく、素で見るのが1番面白いですので、できればもう見た方に読んでいただきたいです。
もうこの兄のダメさは弟の比じゃないですよね。どこまでもダメですし、弟にはある可愛げもありません。かなりのコンプレックスの塊なんですがそこに笑いの要素が全く無いんです。しかも追い詰められても諦めない執念はある、という非常に扱いにくさ。もし、彼のキャラクターに笑いが入っていたら、これはもうコーエン監督作品なっていると思いますが、そうでないシリアスなところがまた良いんです、コーエン監督作品も大好きですけど。弟の借金まみれと、それを認められない行動が、妙に可愛く見えるのに対比してダメに磨きがかかってます。また、父親との確執も特に原因を描いてはいないのによく分からされてしまいます。そして、やはりこの父親の凄みが、それまで全然意識してなかったのですが、最後の最後で急に分かります。そう考えると、この映画の原題が非常に恐ろしく、だからこそわざわざタイトルに字幕が付いているんですね。弟はいそうですが、兄はなかなかいないで欲しいタイプです。
しかも映像がスタイリッシュ!綺麗です!でも正直なんでR−18指定なんでしょうか?確かに冒頭のシーンは凄すぎますが・・・原題が凄いタイトルです。
フィリップ・シーモア・ホフマンが良かった
★★★★☆
犯罪のプロセスは面白いと思わなかったけど、
疎外感を抱えたアンディとお父さんのやりとり。
「家族の中で、いつも自分だけ仲間はずれだった」
「俺は本当の息子か?」にグッときました。
あの場面の、フィリップ・シーモア・ホフマンの
緊張感で、この物語が数倍面白く感じられました。
今までは、ただの犯罪ものだったのに、不機能な
家族のドラマに思えてグッと盛り上がったのです。
追いつめられ、行き場のないアンディの焦燥や、
息をするのもやっとな姿が心に残る映画だった。
ディテールも素晴らしい、演技派勢揃いの秀作!
★★★★★
サスペンス映画にありがちな、
速いテンポで場面が展開されてゆく作品ではないにも関わらず、
ついつい観入ってしまうのは、
一人一人の演技力の素晴らしさと、
監督が、俳優陣の実力を充分にひき出す様な
『スペース』を与える事に長けている点が大きいでしょう。
そして、誰の心の中にも必ず片隅にひっそりと生き延びている、
【Devil】の部分を見せながらも、
(メインキャスト4人全員の悪魔性が暴かれています。)
【愛したい/愛されたい】
という欲求を持った人間らしい部分が上手に映し出されているので、
キャラクターそれぞれに感情移入し易い事。
同じ人の心に共存する光と闇の両方に、
平等な意識を持って照らし出す術が見事なためでしょう。
一度悪魔に見いだされると、
いかに早く転落してゆくのかを描いた様子は、
確かにサスペンス性も高いですが、
それ以上に人間の愛憎の描写が見事です。
そして人々が、本当に伝えたい気持ちが伝わって行かない、
思いが空回りして、逆の方向に行ってしまう、、。
そんなアイロニーに溢れてもいます。
最後まで観たあとに、
もう一度オープニングを観ると、
散りばめられた監督の遊び心の中のひとつに出逢えます。
すべてのシーンが後々リンクしているので、
観直しても新たな発見があるのでは?
また、セリフに頼らずに、
観客にストーリーを読み砕かせるセンスも素晴らしいですね。
幅があり、でも無駄がない。
綿密に計算されていながらも、
ヒューマニティーと自由度を感じさせて、
アーティスティックでもある。
視覚的にも、文章的にもとても芸術性が高いです。
作品中ではアンディーは、『リオのせい』で片付けているけれど、
この惨事はいったい『誰のせい』だったのか・・・?
一番好きだったセリフは、
会計士のアンディーが言うこの言葉。
『不動産業界の会計は、
ページにある数字を全て足せば合計になるのに、
自分の人生は、そうはいかない。
ひとつひとつの事が足されていかないんだ。
それぞれがバラバラで、
重なり合って、ひとつの結果になる事がないんだ。』
一体この人達は、本当は何を達成したかったのだろう?
どうすれば達成できたのだろうか?
<悪魔に見いだされる前>に、、、。