トロージャンのレコードのようなオリジナル・スカ・テイストの導入に、ソウルセットとの符号も感じながら聴き進めていくと、これがとんでもない宇宙まで拡張する。元々、プロのミュージシャンでもDJでもなく、TOKYO NO.1 SOULSETという魂の不良軍団（失礼！）の中で、自身の音楽も育んできた渡辺俊美。彼ならではの、どのジャンルにも隷属／拘泥しない姿勢がZOOT16初のフル・アルバムでも痛快に鳴っている。スカ、ジャズ、ラテン、クバーノ、テクノ、ハウスetc...という普通なら並列しようのない要素が、B級ギャング映画的なハードかつロマンティックなムードという1本の芯を貫くことで成立しているのだ。UK産のスカやダブ好きにも堪らない雰囲気だろう。（石角友香）