読みやすくわかりやすい入門書
★★★★★
「生物時計」「サーカディアンリズム」という言葉は、専門分野の研究者にとどまらず、多くの場所で耳にすることが多くなったが、それが意味する本当のメカニズムや研究方法についてなどを、ポップサイエンスの枠以上の内容の本に求めると、とたんに難しくなってしまうことが多かった。そんな中で、生物時計とは何か、という根本的な問から始まって、最近の研究では主流になっている生物時計に関する遺伝子群の話(Periodなど)まで多岐にわたって取り上げられた本書は、生物時計について概観するにはもってこいの本である。
また、語り口も非常に丁寧にわかりやすく書いてあり、特に専門用語の説明や独特のグラフ表記についての解説が秀逸。全くのゼロからでもかなりの部分を読みこなすことができると思う。それでいて内容はしっかりとした「入門教科書」として使うことができる。