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ブッダと龍樹の論理学―縁起と中道

価格: ¥2,625
カテゴリ: 単行本
ブランド: サンガ
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これが論理学? ★☆☆☆☆
第一章を読む途中で、著者が「西洋論理学」について誤解していることがわかる。
論理学で言う「P∧Q」の、PとQの入れ替え可能の原則について、
著者は、これは日常用語の「PそしてQ」にあたるとして、日常用語ではPとQが
入れ替え不能であり、現実の世界に適用できないとしているが、「∧」は「そして」
ではなく、「かつ」のことであり、日常用語としても入れ替えはできる。

また、「PならばQ」の説明として、「これがクジラならば、これは哺乳類である」を
例文として挙げて、Pに「これがクジラである」を入れ、Qに「これは哺乳類である」を
当てはめて、「QならばP」が現実の世界では成り立たないとして、このように日常言語
で成り立たないものを、成り立つとしているのが「西洋論理学の特徴である」としている。
しかし、これはPとQにどの命題を当てはめるかで決まることではないのか。
Pが「これは哺乳類である」Qが「これはクジラである」にしたら「QならばP」は
成り立ってしまうではないか。
それに、成り立たないとされる「これが哺乳類であれば、これはクジラである」は
命題として「偽」であるだけで、日常言語の文章として成り立たないというわけではない。

おかしなところは他にもたくさんあるのだが、あげきれない。
この本にはかなり期待していたところもあるので、正直いってがっかりしてしまった。
真諦では俗諦を語ることは出来ない! ★★☆☆☆
本書の内容については、著者の管理するマニカナ=ホームページのマジカナ道場で、『インド人の論理学』の著者である桂紹隆氏と興味深い議論が交わされている。幾つものテーマで議論の末、途中参加のDavid氏が著者の敗北を宣言し、著者も首肯したかに見える。
なぜ、そうなったのか?
本書は、釈尊の「苦楽の中道」と龍樹の「八不中道」に共通するのが「仏教論理学」だと主張し、真理表を用いた論証を試みている。しかし、「苦楽の中道」は此岸(凡夫)から彼岸(聖者=四沙門果)に至る方法を述べた「俗諦(世俗諦)i.e. 事実」であり、「八不中道」は「真諦(勝義諦)i.e. 真理」とされる「縁起の理法」を凡夫が勘違いして執着しないように否定形で述べたものである。その龍樹も、後年の『十住毘婆紗論』では釈尊と同様に、四沙門果の最初であるシュダオン(預流)に入る重要性を力説している。
従って、「仏教論理学」は「俗諦」の論理を扱うべきであったように思う。釈尊も龍樹も絶対視(=執着)されることを恐れて慎重に扱っていた「真諦」を真理表のような限定された方法で安易に扱ってしまったのは無謀だったかも知れない。
仏教思想に興味を持つ人必読 ★★★★★
釈尊が説いたとされる原始仏教の経典を丁寧に読み解き、中観の思想と関連させて論じています。とてもエキサイティングな内容です。平易なことばで深い哲理を説明できる力量はなかなかのものです。仏教思想に興味を持つ人には大変参考になる本です。

壮大なツッコミ ★★★★★
面接や受験に失敗した理由がわかる本。優しい本です。
阿含経典と中論が見事につながった ★★★★★
龍樹の「中論」をここまで緻密に分析した本は今まで見た事がない。
中論を題材にした本は少なくないが、ほぼその全ては、西洋思想に当てはめたり、瞑想と神秘の世界で終わったり、論理的に展開されても相依相関関係と捉える空に結論ずけらるものばかりである。
この本は、そうしたこれまでの龍樹研究より一重深い仏教の視点が平易な言葉で明かされた。
文体は難しくなく、一般人でも読み進める事も容易であるにもかかわらず、説かれた内容は高度で大乗仏教、上座部仏教を問わず、仏教を学するものは一読する価値がある。
日本においては故中村元氏の龍樹論を超えるものと言えるかもしれない。
この分野に関しては古今東西に残る名作ではないだろうか。
早期の英訳が期待される。
この作者の深い仏教理解には脱帽である。