新庄は新庄だ!!
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稀代の新庄ウォッチャーである著者の新庄に向ける愛が行間からにじみ出てくる好著。他のスポーツライターには決して迫れない(まともなスポーツライターは決して迫らない、失礼!)新庄の多面性を描いている。
周りに非常に気を使う男、孤独な男、他人の悪口を言わない男、他人のせいにしない男。
効率性が重視され、人を出し抜くことが賞賛される現代社会、その象徴的事件ともいえる近鉄消滅、それらに対して新庄は反旗を翻し続けていたのだ(もちろん無意識のうちに)。常に経済的には損をする道を選び、それゆえ成功して言った新庄はやはり俗世の薄汚れた尺度では測れないのである。
やっぱり新庄は新庄なんだ、そんな当たり前だが、すごく重要な事実(世間的には「いらんこと」)に気づかせてくれるのが本書である。