このCDに収録されている音源はラベルにも書かれているとおり、昔東宝から発売されていたレコード音源復刻。つまり「偽」サントラである（だから当初から眼中になかった）。全てではないかもしれないが、テレビで使用されたのとは別テイクだ。特にオープニングテーマは全く違う。作る側はステレオにしたかったり、音質にこだわったのだろうが、私たちが聞きたいのはテレビで使われたテイクの音だ。音質良し悪しの問題ではない。過日、とある動画サイトで「太陽にほえろ」というねこのパロディを見て、そこで本物ののサントラオープニングテーマが使われていたのでもしやと思いこのCDを買ったがやっぱりちがった、別テイクだ。多くのファンが聞きたいのはディストーションぎみの迫力のあるあの本物だ。VAPに「金返せ！」と云いたい。対して傷天のMUSIC FILEはモノラルだろうが音が歪んでようが昔の本物のサントラであり、ファンにとっては拍手喝采ものだ（「一人」や「マヅルカ」については×だけど）。

刑事ドラマの代表格「太陽にほえろ！」。その魅力としては刑事それぞれの人柄や人間味のあるストーリーはもとより、この大野克夫の音楽にも負うところがかなりあるに違いない。パンチの効いたテーマ曲はいま聴いても心が躍るし、追跡のテーマや希望のテーマを聴くとどこか懐かしいかおりがする。このＣＤは、そんな太陽にほえろ！の曲が1974年から75年にかけて発売された東宝レコードを源に発しているという“東宝レコード音源復刻版”となっている。太陽にほえろ！ファンにとっては貴重なミュージックファイルだ。