全体的に内容がよく整理されています。

・説明が非常に理解しやすい（突き放した感じがしない）
・問題が適当量に挿入されている
・カバーしている範囲が絶妙

更に本のサイズ自体もコンパクトなんで、内容の軽妙さとあいまって、騒がしい電車の中で立ち読めるくらいです。
まあ、このシリーズ全体にいえる事なんですけどね。
著者が熱意と親しみを持って教えてくれている印象があります。

この本は、複素関数のほぼ全般を網羅しています。
メービュース変換などは、他の本よりかなり詳しいです。
書いてない複素関数の本もあるくらいです。
　証明もチャンと書いていますが直感的にも分かりやすい書き方です。
複素関数の積分は、実は線積分である事。
また積分の定義は、微積分の基本定理により定義されている事。
など基本的なことにも紙面が割かれています。
岩波のキーポイントと違い、トピック的に話題を扱うことなく使える
と言う点が強調されていると思われます。

このシリーズに共通しています。
複素数が解析的である証明は分かりいいです。
必要条件しか説明していませんが工学では適当な範囲です。

留数点定理デモ分かりや数ですが、積分が時計回りで、負になる解説
はヤヤ雑なような気がします。
キーポイントの複素数よりも理屈は少ないが利用度が遥かに高い点
を考えれば、当然、五つ星になります。