薬学部の学生の学習の一助に
★★★★☆
薬学の学生が物理化学の学習に割ける時間は多くはないでしょう。しかし、この学問ほど入念な反復学習を要する分野は、他の薬学必修科目にも稀です。本書は、基本的な物理化学を生命科学への応用という視点を見失わないように学ぶための好適な教科書です。演習問題は多くはないので、他の演習書で補強するべきですが、薬学に必要な物理化学の基礎知識のセットを提供するという意味でも、成功している一冊であると思います。内容は下巻まで考えると決して易しくはありませんが、上巻に収載されている熱力学と分子分光学の基礎の説明は他書よりも詳しく丁寧です。教養2年生か、学部の学生に勧められます。