構造改革と云うと大げさになってくるが、結構きつい提言をしているものの、著者のように、比較的余裕を持って段階的に、医療費改革、公的年金制度の報酬比例部分を段階的に民営化するための具体的な移行案、地方交付税制度を発展的に解消して包括的で効率的な地方財政の財源調整制度に移行する案等の財政改革を提示されると、案外、やれるのではないかと云う気になるのが不思議である。
いま流行の「インフレターゲット論」については、さらりと触れた程度であるが、著者の提言する消費税の毎年1%のアップ提案(13%まで)は、巷の金融ジャブジャブ緩和論よりも、インフレターゲット促進策として、案外現実的で面白いのではないかと思った。
財政再建の本筋は、財政制度の構造改革と量的な赤字削減の二つを同時に遂行すること、正に然り。「煮え蛙」のように少しずつ墓穴を掘っている日本経済と財政の現状を知らずに、国民は太平天国。もう、待っていられない、そんな思いで書かれた、全編、示唆に富んだ提言が続く良書である。
例えば、公的年金についてもっとよく知っておきたい。そして、選挙の時にだえ理想的なことをいう議員の言葉を自分で審議したい、と考える方には、よい指針となると思います。