極限まで振れた振り子。または機能美と無縁の凶暴さ
★★★★★
5年間限りのカテゴリーであり、かつ数々の悲劇と必ずセットで語られる「グループB」。本書は、その時代を駆け抜けた数々のマシンを集めた本だ。
必ず「狂気」という言葉とセットで語られる異形の車たちは、お世辞にも「流麗」とか「機能美」という表現からはるか遠いところに進化していったように見える。
Delta S4しかりQuattro S1しかり。市販車に近いとされる205turboだってそうだ。
もはや実物は博物館でもない限りおめにかかることはできない。
けれど、その姿を見るたびに、現代のラリー競技(Gp.A〜WRCar)が例外はあれど比較的安全なモータースポーツとして存続できたのは、この時代への徹底した反省があったればこそ、だとわかる。