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日本のモノづくりイノベーション―大田区から世界の母工場へ (B&Tブックス)

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日刊工業新聞社
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これからの、日本の元気が見えます ★★★★☆
毎日の積み重ねが、大きな差となり、深堀した技術の結果が企業の強みとなっていく、この証明がここにあります。
21世紀の日本の立ち位置が見えてきます。私たちも、この方向で、日々磨いていくことが重要だと気づきました。
一つ一つを丹念に見聞きし、あげつらうこともなく、シンプルに書いています。ですからなおさら、自身の心に響きます。
現場、ここが一番大事なのです。
中小企業生き残りの秘策を探る ★★★★★
1990年代以降の不況と、経済のグローバル化に伴い、日本の産業構造が大きく変動しました。その変動の波は大田区内の中小企業にも押し寄せ、その結果ピーク時の1983年には9190あった大田区内の工場数は、2005年には4778にまで減少しました。

山田氏は著書の中で、現状を見つめ危機意識を持って、今後中小企業が取り組まねばならない課題を3つあげています。
1.グローバル化への対応。中小企業も積極的に海外展開する必要性。
2.環境保護への対応。クリーンなものづくりの必要性。
3.少子高齢化の影響。いかに優秀な人材を育てていくかという人づくりの課題。
この本の中では、大田区の60社以上の企業を実例として取り上げ、紹介・分析しながら、今後の中小企業の生き残りの方向性を探り出しています。

大田区は、機械金属産業関連の中小企業が集積し、高度な技術力を武器に、「世界に冠たるものづくり町」と言われ、日本の基盤産業を支えてきました。厳しい経営環境にさらされている今だからこそ、イノベーションが必要であるという著者のメッセージが、ひしひしと伝わってくる読み応え十分な1冊です。
産業の現場から日本の行方を示唆する ★★★★★
 日本の経済回復にものづくりがいかにあるべきか、問われている。ものづくりにこだわるなという意見、それこそが生命線という意見。評者は、2分法は危険と考えている。ものづくりと金融を含むサービス、生産と消費、社会保障、いずれをも成り立たせなければならない。

 東京は大田区。特に戦後の日本機械産業をリ−ドしてきた地域である。多くの研究者が訪問取材し、大田を紹介、評価して来た。本書の著者はそのかなめにい続けて重要な人であった。その当事者が年来の努力を一冊にした。いま大田は、日本の経済分岐点で注目されているからであり、その行方に大田を参考にしてほしいという願いからであろう。

 大田の企業群は、現在、量的には最盛期の半分くらいに減少しているけれども、質的には著者が豊かに報告しているように世界的に注目されるべき存在である。本書に登場する企業は、マスコミにしばしば登場する企業から隠れた存在の企業までに渡っている。著者を育て、著者に支援されての企業群である。著者の温かい目と、著者が将来への課題を厳しく指摘する両面を読者は読みとらなければならない。

 評者は、特に第5章に注目した。大田の先進的な企業が中国とタイに進出している現状とその役割とを紹介し分析している。その渦中にあってキーマンだった著者の文だけに、注目に値するのである。

 中小企業の経営者はもちろん、行政の人々、政治家に読んでほしい本である。