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さようなら、ゴジラたち――戦後から遠く離れて

価格: ¥1,995
カテゴリ: 単行本
ブランド: 岩波書店
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面白いけれど ★★★☆☆
『敗戦後論』に対する反応への応答を皮切りに、ゴジラやハローキティの分析、埴谷雄高さんと鶴見俊輔さんを語った文章などが収められている。確かに面白い。芹沢俊介さんの「イノセント」論や村瀬学さんの『銀河鉄道の夜』についての考察を引用しつつの展開、ゴジラとはあの戦争の死者たちであるという指摘、転向と発狂という点で埴谷さんと鶴見さんが同一化するかのように交錯するという分析など、ふむふむと読めてしまう。
その面白さとは別に、そして戦争、戦後をどう考え、日本人の理想を獲得するかという思考の提示の貴重さを思いつつ、論旨が閉じた空間、言ってしまえば著者の語り芸の中に閉じこもっているという感想がつきまとった。それは一つには『敗戦後論』の日本の戦争の死者たちと日本に侵略された他国の人々、という枠組みが、思考の原理のために必要だったとは言え、大雑把すぎることから来るのではないだろうか。在日や国内の差別など、けっして小さくない問題を日本人は抱えている。そのリアリティの前に、著者の論旨はやはり文芸家のものにすぎないのでは、という疑問が残る。
たぶん、作品の読解に関してはすごい力量の人なんでしょうね。