波瀾万丈の第三巻
★★★★★
生粋のお嬢様女子高生「ほのか」が叔父の設立した
ゲームソフト製作会社でアルバイトしていきながら
いろいろな人と出会い成長していく物語。
なんてことを書くと全然おもしろくなさそうだけど、
これが業界ネタなどの「現場の雰囲気」が作品中に
うまく取り入れられていて、とても面白い。
今までは人から教えられたり支えられたりするばかりだった
ほのかちゃんが今回は悩める同級生に手を差し伸べたりして
しまったりしています。(本当に成長したもんだ)
3巻では、彼女にとっては青天の霹靂ともいうべき大事件が
2つ発生し、1つは友達の協力を得てクリア。もうひとつは
次巻に続く、という状況で続きが大変気になります。
この作品の最大の魅力は可憐な少女たちにある、と言い切って
しまうと問題がありそうですが、子鹿を思わせる華奢な腰つきと
若々しい脚線の描写からは作者の妄念さえ漂ってきます。
ガラス細工の精緻さと羽二重餅のきめ細やかな柔らかさを
あわせ持った類まれなる素晴らしい絵だと思います。
その一方で、適当に作られた芋の煮っ転がしみたいに大雑把な
背景・小道具・大道具の描写は、もう少しどうにかならないものかと
思わないこともなきにしもあらず。
省略しすぎというか記号化しすぎというか、知っている人にしか
分らないくらい線を減らしてしまうのは、状況説明の用をなしません。
委員長の部屋なんか、女のコの部屋というよりも囚人の独房です。
サウンドルームではどんな機材を使っているのか、もっと見たいです。
背景なんて散々時間をかけて描いたところで、大部分の人は
ほんの一瞬くらいしか見ないのでしょうが、それでも単行本を
買うような人なら、それこそ味わうように鑑賞するのでは
ないでしょうか。
背景を描き込みすぎて画面がうるさくなったり、原稿を落として
休載……なんていうのは困りますが、背景やアイテムの描写でも
もっと私たちをドキドキさせてくれたらとても嬉しいです。