ある地方都市、中学2年生の雄一(市原隼人)は、かつての親友だった星野(忍成修吾)やその仲間たちからイジメを受けるようになる。そんな彼の唯一の救いはカリスマ的女性シンガー、リリイ・シュシュの歌だけであり、そのファンサイトを運営する彼は、いつしかネット上でひとりの人物と心を通わしていくが…。
岩井俊二監督が、インターネットのインタラクティヴ・ノベルとしてスタートさせた企画を発展させて成立させた異色の青春映画。美しい田園風景の中、イジメや援助交際などなど現代の少年少女たちにまつわるさまざまなダークな問題を、これまでにないほど身近なものとして織り込みつつ、彼らのリアルな心の声を繊細に描き上げていく。そして、それでも「どんな子どもでも、光る時間を過ごすのだ」といった岩井監督のメッセージが痛切に伝わり、胸をしめつける必見の秀作である。(的田也寸志)
酷い青春時代
★★★☆☆
酷い青春時代をおくった中学生たちの物語。
とても心が重苦しくなり、2回は見たくない映画。
大好きなドビュッシーの音楽が、唯一の癒しとして、全編に流れています。
音楽は良かったです。
やっぱり
★★★★★
スゴい作品です。田園風景と少年少女たちの葛藤と残酷さとが見事なコントラストで描かれています。
映像によってこれほど抽象化され世界を描けるのだとあらためて感心しました。
個人的には部活や合唱コンクールといった学校行事が妙に思い出をくすぐるリアリティーを持っていて好きです。
何故人はいつも人を傷つけるのか
★★★☆☆
いつ観たか、覚えていない。でも、借りて、観た記憶がある。
邦画はあまり観ないのに借りたということは、何処かで大変褒められていたか、あたし特有の「気になった」からだと思う。
痛みと救いがない。こどもはあやふやで混沌としていて、傷つきやすくて愛されたがる存在なのに、おとなになるとそれがわからなくなってしまう。
にんげんは、愛され、まもられなければ生きてゆけないのに、それを忘れてしまう、または、知らぬふりをして自分たちが受けた傷を繰り返そうとする。
何故、自分たちの受けた傷を自分より弱いものに押し付けてしまうのだろう。そうしたところで、なにも解決はしないのに。
やはり邦画は、というか、“こういった映画”は、最後迄いくのに酷く酷く時間がかかる。つまりだれてしまう部分があるわけで、邦画となるとそれがとりわけ顕著になる。それが邦画のよいところなのかもしれないけれど。だから、映像美と苦しみはのこっても、物語の概要がうまく残らないんじゃないかなあ。
音楽と映像と市原隼人と忍成修吾
★★★★☆
一部ネタバレを含みます。
子供たちの間で起こるいろんな出来事や葛藤と、何も知らない、知ろうとしない大人が描かれていますが
特筆すべきは音楽と映像と子役です。
ドビュッシーとリリィシュシュの音楽、ドビュッシーのピアノ小品はもちろん、リリィシュシュの曲、どれもメロディックで親しみやすく、綺麗な曲ばかりです。伏線の張り方や、カットへの音楽の導入の仕方にも光るセンスを感じます。
映像については、日本の郊外の田園風景や空のカット、ハンディカメラ視点から撮った沖縄の海、どれもとても綺麗で、少し癒されると同時に、自分も画面の中に入って行きたくなります。
それと演技のうまい子役たちのおかげで、折にふれてみたくなります。
市原隼人と忍成修吾の関係はとてもデリケートなのですが、ふたりともとてもうまい演技で、見事にそれを感じさせてくれます。
物語自体は、少年達の非行にまつわるもので、暗く救いようがない出来事が多いですが、登場人物たちは彼らなりに、救いを持っています。リリィシュシュの音楽だったり、空を飛びたいという思いだったり、強さとプライドだったり。また、思春期特有の、傷つくことを恐れて殻に閉じこもりながらも、他者とのつながりが欲しくてたまらない、そんな微妙で切実な心理もうまく描かれていて、多くの人が部分的にでも共感を覚えるのではないしょうか。
その御陰で、観終わったあとの印象も、どこか爽やかです。物語自体も決して破滅的な幕引きではなく、いろんなことを経験して、それでも彼らの人生は続いていくんだろうなぁ、という感じです。蒼井優が演じる少女に関しては当てはまりませんが。
中学生の頃、似たような環境や価値観を持っていた人には、ある程度の共感も得られる物語だと思います(僕の中学でも犬伏と星野のような喧嘩やいじめ、ナイフによる傷害事件等がありました。さすがに中学生による売春強要はなかったと思いますが)
とにかく、映像と音楽と演技とテーマがかなりよくマッチしている、いい映画だと思います。
二度と見たくない映画
★★★★★
二度と見たくない映画です。
なぜならば、初めに見たときの衝撃があまりにも深く、消えないからです。
つまり、1度みたらなぜかしら2回みるのが恐ろしくなるのです。
この映画を高く評価した方からの感想からもありますが、この映画を見た後は何かしら自分の中に
得体のしれない何かが残ります。やるせなさや人間の本質とかよくわからないものが残ります。
実際に、私はこの映画を見た後3日間は、映画の1シーンがフラッシュバックしてきました。
とにかく、しっかりと自分の記憶の中に残る作品でした。
内容がリアルで(特にいじめのシーン)見ていて不快感や気持ち悪くなったりもしますが、
なぜか顔をそむけたくなってでも見たくなってしまいます。
映像も手ぶれとか曇った感じ?の映像なので少し映像によってしまいそうにもなります。
テレビドラマの「未成年」「聖者の行進」などで知られている野島伸司作品が好きな方には
この作品はかなり衝撃的で一度は見てみる価値ありな映画だと思います。