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ひまわりの海~セヴラック:ピアノ作品集

価格: ¥3,990
カテゴリ: CD
ブランド: ワーナーミュージック・ジャパン
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名声より南仏片田舎でひっそり音楽と戯れる人生を選んだ人、セヴラック ★★★★★
妖しい芳香を漂わせながらも、実に素朴で人間臭く温かさを感じる、そんな素晴らしい音楽集だ。

デオダ・ド・セヴラック(1872-1921)は、ドビュッシー・ラヴェルと同世代を生きた仏作曲家。一般的な知名度はそれ程高くないものの、近年
では本盤の作品を収録したピアニスト・舘野泉氏の功績をはじめ、少しずつピアノ音楽好きから高い評価を受け始めている人でもある。

同世代のドビュッシー・ラヴェルと異なり、名門パリ音楽院に対抗して設立された音楽学校スコラ・カントルムにて学び、一時期はパリにてオ
ルガン・作曲等を学んでいたが、音楽で名声を勝ちとるといった野心とは対照的な性格であった彼はパリに馴染めず、生来病弱であったこ
ともあり、程なく南仏のルシヨン地方のセレという町に移り住む。その後はオルガン奏者として働きながら緩やかなペースにて作品を書き留
めてゆき、48歳の若さで静かに生涯を閉じた。名声とは無縁でも、愛する土地で静かに音楽と戯れた彼の人生は幸せだったのだろう。
彼の作品は歌曲や室内楽といった小規模のものが殆どだが、同世代のドビュッシー達とは一味違う、素朴な旋律と繊細な和声に彩られた
独自の路線を歩んだ。それらは当時の最先端を行くものではなかったかもしれないが、地元の農夫達に愛され「田舎の作曲家」と呼ばれる
ことを喜んだ彼の穏やかな人間性がそのまま音になったものである。それらの作品は他のレビュア様のご指摘とおり他の作曲家からも支持
を受け、ドビュッシーも「とても素敵な香りがする音楽」と彼の音楽を形容し称賛した。

本作は2枚組で、彼の代表作である2大組曲「ラングドック地方にて」「セルダーニャ」を始め、彼の生涯に書きためたピアノ曲の代表作がほ
ぼ網羅されているといって良い大変な価値ある作品だ。演奏者の舘野泉氏は現在70代になるピアニスト。その腕前の確かさは勿論、今ま
で皆が見向きもしなかった優良な作曲家の作品発掘という偉業を生涯に渡り行っている。カスキ・メラルティン等彼の功績により楽譜化され
自ら演奏して発表された北欧の隠れた逸材は数知れず。セヴラックも彼が若い頃からその魅力に惹かれた作曲家であり、現在は「日本セ
ヴラック協会」を立ち上げ、自ら顧問をしている。本盤の演奏も流石に長年添い遂げた作品であるのが分かる様に全曲彼の手の内に入っ
たかのような素晴らしい演奏、そして何よりセヴラックへの惜しみない敬意が感じられるのが良い。

自分がセヴラックに触れるきっかけになったのが、ピアノ発表会で教師の一人が演奏した、本盤収録の組曲「ラングドック地方にて」の1曲目
「祭の農家をめざして」である。ドイツ音楽とは明らかに違う和声、かといってフランス印象派に寄りきっているわけでもない散文詩的な自由な
作風。何より音楽から自分が自然豊かな大地に入り込んだような映像的な魅力に釘づけになり、必死で輸入楽譜を探し求めた。現在では国
内版でお安く彼の楽譜類が入手できる様なので、本盤を聴いて自ら弾いてみたくなったら手に取ってみるとよい。
曲数が多いので各曲のレビューはできないが、もう一曲個人的に思い入れが深いのが、「ポンパドゥール夫人へのスタンス」だ。彼のメロディ
メイカーの能力が遺憾なく発揮された子守唄風のバラード。冒頭と終結部の温かい旋律とそれらに挟まれる悲しさを湛えた旋律の対比が素
晴らしい。この曲こそ彼そのものが音楽に形を変えた名曲だろう。

心癒される音楽に彩られた名盤。休日の午後、うとうとしながら静かに流すと至福の時間が流れる。「何かセンスの良いクラシックを」とお探し
の方、知名度に拘らず一度試聴してみては如何だろうか。
心に沁みる響き ★★★★★
舘野泉が学生の頃コルトーの著書で出会ったというセヴラックのピアノ曲。演奏生活40周年記念として初めて舘野の演奏がCDとなった。ドビュッシーが「とても素敵な香りがする。心の襞の隅々まで、すべてが息づいている」と讃えているが、静かな柔らかな響きは聴いていて心に沁みわたる。南仏の大地に根ざした牧歌的な曲は柔らかな光を浴びた農村を充分想い浮かばせる。舘野は日本セヴラック協会を2002年に発足させ普及に努めている。なお、舘野の同名のエッセイ「ひまわりの海」(求龍堂刊)にセヴラックに関する解説があるので合わせて読まれるとよい。
素敵な大地の香りがする音楽 ★★★★★
デオダ・デ・セヴラック(1872~1921)は、フランスの作曲家。
サン・フェリックスという田舎町で生まれた彼は、パリ音楽院に入ったものの厳格な校風に嫌気がさし、
ライバル校のスコラ・カントルムに移り、ダンディ、アルベニスなどに学びます。

しかし結局10年ほどでパリを離れ、スペイン国境に近いセレという田舎町に定住、穏やかな田園生活を送りました。

その音楽はまるで、モネ、マネ、ミレー、コローなどの絵を音楽にしたかのよう。
音で描いた田園風景であり、印象派絵画です。
各曲には詩的なタイトルがつけられています。

「春の墓地のひと隅」 「村のヴァイオリン弾きと落穂拾いの女たち」 「お祖母さまが撫でてくれる」・・・

ドビュッシーは彼の作品を 「とても素敵な大地の香りがする」と評しました。

とくに素晴らしいのは、「日向で水浴びする女たち」という7分足らずの曲。
日の光を受けてきらめく水しぶき、女たちの嬌声までが聞こえてくるようです。

CD2の後半におさめられた「休暇の日々から」という曲集には、2~3分の小品がたくさん集められています。

簡潔な書法ながら、愛らしいメロディ、やさしい響きが存分に盛り込まれ、じつにくつろげます。
ロマンティックですが、決してセンチメンタルではないのもいいところ、
カラリと乾燥して、べたついたところがないので、聴き疲れしません。