しかし結局10年ほどでパリを離れ、スペイン国境に近いセレという田舎町に定住、穏やかな田園生活を送りました。
その音楽はまるで、モネ、マネ、ミレー、コローなどの絵を音楽にしたかのよう。
音で描いた田園風景であり、印象派絵画です。
各曲には詩的なタイトルがつけられています。
「春の墓地のひと隅」 「村のヴァイオリン弾きと落穂拾いの女たち」 「お祖母さまが撫でてくれる」・・・
ドビュッシーは彼の作品を 「とても素敵な大地の香りがする」と評しました。
とくに素晴らしいのは、「日向で水浴びする女たち」という7分足らずの曲。
日の光を受けてきらめく水しぶき、女たちの嬌声までが聞こえてくるようです。
CD2の後半におさめられた「休暇の日々から」という曲集には、2~3分の小品がたくさん集められています。
簡潔な書法ながら、愛らしいメロディ、やさしい響きが存分に盛り込まれ、じつにくつろげます。
ロマンティックですが、決してセンチメンタルではないのもいいところ、
カラリと乾燥して、べたついたところがないので、聴き疲れしません。