元気になるホラー本
★★★★☆
シリーズを読み続けている人にはもうおなじみかもしれないが、「ホント、こいつら馬鹿だよなー」と思いながらも、出るとついつい読んでしまう不思議な魅力がある本。基本、元ネタの新耳袋を実際に検証解明することを目的にした本だけど、元ネタを読んでなくても十分楽しめ(?)る。今回もやっぱり「つくづくこいつら馬鹿だ」と思いながら、時にゾッとし、時に爆笑しつつ読ませていただいた。なんかの祟りで命を落とさない限り、彼らにはがんばってもらいたい。仕事のストレスでへこんでる時に読むと、「彼らよりはましな人生送ってるな」と思えて妙に元気になるから、一度おためしあれ。
こなれてきたが、一方マンネリ
★★★☆☆
ギンティを始めとするいつものレギュラーメンバーによる、
シリーズ最新刊は、
予定調和的な面白さはあるが、
初期のエネルギ-というか、
猥雑さが影を潜め、
正直言って面白さが低下してと思う。
辛口だが、
メンバーも慣れがあるんだと思う。
これでは次作は買えない。
文章も構成もこなれてきたが、
レベルアップの成果がマンネリであるなら、
ギンティじゃない新人ライターを使った方がいい。
SRシンレイノラッパー登場!
★★★★★
毎夏おなじみ30男たちの心霊スポット突撃ルポ、ついについに4冊目…えっなのに「BOOK‐1」?! そしてこの装丁!!!! 国民的実話怪談名作「新耳袋」だけでなく、某国民的ベストセラーにまでリスペクトを捧げ全く装丁を変えるなんて凄い。…あれよーく観るとちゃんと既刊の3冊でも続けていた「びっしり本文がうっすら」の新耳装丁テイストも残している…やられた…正直この表紙だけで10冊買って配りたい気分だ。負けたぜ!
本作は「攻撃」と冠され中身も益々アグレッシブさが増している。よりによってあの心霊スポット洒落にならなさすぎ度No.1の八甲田山にほんとに不謹慎すぎる!服装で吹雪のさなか電撃戦をしかけるとは命知らずにもほどがある怪談ワイルドバンチどもだ…
また、前作に登場した「ようちゃんこ」をもしのぐ新キャラ、しかも今回何とアーティストが登場! 泣く子も黙る実力者、メテオが「SRシンレイノラッパー」として参戦し、お化けに対してフリースタイルラップバトルをしかけるのだっ!!
このフリースタイル、殺人事件発生物件の中とか真夜中の霊園の中とか、余りに無茶ぶりな指令の下なされる。「霊園に来てまーす 予想以上におっかねー でもこれで稼げお金〜!(…)霊園霊園! お金! 財布の中は0円!」。ここだけ抜き出すとアホのようだが、これが読み進めるうちホントマジでリリックの才気溢れ現場の恐怖再現効果を高めていることに感動させられる。だってガチでフリースタイル、恐怖の絶頂の中で編み出される“お筆先”状態なのに状況も読み込みライムにもなっている見事な作品となっているのだ。ぜひ読んでおののいて欲しい。秋にはBOOK‐2も出るとのこと、こちらも楽しみすぎる。また本書はブックカバーをかけず表紙丸出しで電車内にて読めばリアルに周り中に戦慄されかなり恐ろしい状況になる、これもぜひ挑戦を!
メテオの登場と、八甲田山
★★★★☆
本書で特に楽しめたのは、メテオの登場と、八甲田山に充てられた章全体です。
DVDや、『怖い噂』の誌面でのフォトジェニックぶりも素晴らしいですが、ほぼ文章のみで構成されている本書でも「華」があるのを感じます。
今後も随所に投入されるであろう、メテオさんの登場はしょうげきでした、いい意味で。
そして八甲田山の章は、他の章の様なタルみも少なく素晴らしかったと思います。
そして、まだ含みというか、あきらかにされない事象があるため、こちらの想像力が介入する余地があるので、恐怖がさらに増幅されます。
これまでの殴りこみのような、ドラマティックな人物・事象(男の墓場プロのコブラ・ようちゃんこ・天狗神社殴りこみ直後の事件等)がない分、センセーショナル度は減ったように感じますが、何度も読み返すことのできる実直な味わいがあって、こういうのもアリだなと思いました。
出来れば、DVDや、『怖い噂』や『映画秘宝』なども鑑賞した上で本書にあたると物語の深みが増すと思います。
魅力は健在!
★★★★★
私にとって、毎年夏の恒例行事になりつつある殴り込みシリーズ第四弾。
かつて仲間達と夜な夜な心霊スポットめぐりを楽しんだ私にとって
このシリーズは、若かりし頃を懐かしみつつ疑似体験ができる素晴らしいエンターテイメントだ。
相変わらず馬鹿なノリ(良い意味で)で心霊現象の現場へ乗り込む。
前作までのお馴染みの面子に加えラッパー、パンクス等
心霊ネタには一見無縁そうなジャンルの新メンバーも参加して
新たな境地を開拓している。
霊を封じ込めた「ゴーストボトル」などの新ネタも興味をそそる。
話題作の映画などでは「続編は一作目より詰まらない」とよく言われるが
このシリーズは4作目にして、ダレるどころか更に魅力を増している。
さすがに作者ギンティ小林氏をはじめ映画業界に精通したメンバー達なので
如何にして観客を飽きさせずに回を重ねるか、というところを
よく判ってらっしゃる模様。
文章も、「画期的」などの作者特有の言いまわしも健在だが
全体的にかなりこなれて洗練されてきた様子。
とはいってもほどほどに悪趣味で低俗な雰囲気(良い意味で)は
変わらない。
ヒロモト森一氏は残念ながらイラストのみでの参加。
次回作にはぜひ復帰を望む。
尚、今までよりも多少は減ったが相変わらずの誤字脱字。
まあこれも魅力のウチ。
シケモクを咥えた作者が小汚い部屋で締め切りに追われつつ
ヒーヒー言いながら書いたんだろうな…、きっと時間をかけて校正
するヒマもなく滑り込みで印刷したんだろうな、
と想像すると誤字脱字なんか気にならない。