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よりよき世界を求めて (ポイエーシス叢書)

価格: ¥3,990
カテゴリ: 単行本
ブランド: 未来社
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すべては推測知である。 ★★★★★
「客観的真理とは、言明と事実との一致であり、われわれがそれを知っている−確実に知っている−かどうかとはかかわりはありません。」

ポパーの名前は、科学と擬似科学を区別するための「反証可能性」を提唱したことで知っていたが、今回初めて著作を読んだ。
「確実な知」は存在せず、ただ推測知のみが存在する。その推測知においては、よりよいものに向けての進歩が存在するが、それはいつまでも推測知にとどまる。知とはそうとらえるべき、あるいは、そうとらえるしかないというのがポパーの哲学である。
寛容 ★★★★★
著者は何が擬似科学なのかを見分ける方法を問わないといけないとした学者として有名。進化論的に知識を説明したり、実証主義を批判したりということもしている。彼の業績の見取り図として読みやすかった。 印象に残った点をいくつか挙げる。

・彼の議論はとても楽観的だ。人間は自由の拡張を追求する、競争は新しい生の可能性の発見を助成すると考えている。

・3つに世界を分けている。世界1:物質的なもの、世界2:人間の体験、世界3:人間精神の生み出す客観的なもの。どういう議論をしているか、区別しないといけない。

・知的謙虚さを忘れてはいけない。誤りを発見するには批判を通じてするしかないのだ。何でも主張できる、ほとんど何でも=何も主張しないという相対主義は誤りで、よりよい理論が悪しき理論を排除する批判的多元主義のほうがよい。

批判ができないオコチャマ学者に読ませたい逸品!
ポパーの哲学 ★★★★★
この本は論集の形でポパーの哲学が非常に明快に書かれているので、「開かれた社会とその敵」などの本に挑戦した後にポパーの哲学を振り返るという点で利用するのが最もよいと思われます。やはり、ポパーを読むのであったら「開かれた~」や「科学的発見~」の原書に挑戦することが一番だと思います。なにせ哲学書のなかで一番読みやすい著者ですからね。ですが、この本はポパーの哲学をほぼ網羅しているのでポパーの哲学の全体を見渡すだけのためにもよい本だと思います。
よりよき世界を求める価値 ★★★★★
 ポパーの本が良いのは、まず自分で読み、考えることができるからである。記号論、言語論という難しいハードルがたくさんなる現代哲学の中では、最も「とっつきやすい」ものではないかと感じる。本書「よりよき世界を求めて」で何よりも感銘を受けるのは「知による自己解放」であろう。要約することは難しいが、人間は過ちを回避することはできない、だからこそ過ちから学ぶということが肝要なのだというポパーの主張など、何度読み返しても常に新しい発見がある。哲学は易しくはないが、それでけにその価値体系は素晴らしいと思う。